【琴栄峰インタビュー】一門を超えて伝授された四股、飛躍のきっかけと近づいた優勝

22歳の新鋭、琴栄峰(佐渡ケ嶽)が夏場所で大きく飛躍しました。

自己最高位の東前頭13枚目で10勝5敗。優勝争いに絡み、本場所を盛り上げました。

足を高々と上げる美しい四股はもちろん、成績でも存在感を示しました。

活躍の下地には、春巡業で繰り返した地道な四股がありました。

琴栄峰のインタビューをお送りします。

大相撲

◆琴栄峰央起(ことえいほう・ひろき)本名・手計太希。2003年(平成15年)7月8日生まれ、千葉県柏市出身。埼玉栄高から佐渡ケ嶽部屋に入門し、2022年初場所初土俵。2024年九州場所新十両昇進。2025年名古屋場所新入幕。184センチ、142キロ。若ノ勝は高校の同級生、琴勝峰は兄。

―夏場所の千秋楽パーティーはどうでしたか。琴栄峰関の好成績を喜んでいる人が多かったと思います

琴栄峰ギリギリまで優勝争いをしてたんで、「残念だったけどよく頑張ったね」みたいな感じで言われました。でも自分は千秋楽パーティーの時はまだ負けた悔しさはあったんで、あんまり切り替えもできてなくて…。でも、それだけ皆さんが集まってくださって、いつもよりパーティーも人が多かったんで、うれしかったです。

―場所休み入ってからだんだん気持ちが切り替わっていった感じですか

琴栄峰そうですね。やっぱり悔しいのは、あるんすけど、もういつまでも言っても仕方ないんで、もう切り替えて。もうそんなこと思ってるんだったら、もう次に向けてまたいろいろ考えながら、自分の足りないところをちょっと場所休み中に探していました。

夏場所13日目 琴栄峰(左)は霧島をここまで追い詰めながら、うっちゃりで敗れた(2026年5月22日撮影)

夏場所13日目 琴栄峰(左)は霧島をここまで追い詰めながら、うっちゃりで敗れた(2026年5月22日撮影)

―足りないところは、どういうところですか

琴栄峰立ち合いの圧力も、重みとかもそうですけど、あと、やっぱ勝負どころの厳しさですね。立ち合いなんかも、やっぱり宇良関、藤凌駕関、若隆景関に圧力負けした。あと詰めの甘さも。宇良関の時もそうだし、霧島関ともそうですね。あそこをもうちょっとしっかりできてれば結果違ったのかなと思いますし。そういったところも稽古場でしっかりまたやっていきたいです。

夏場所6日目 琴栄峰(右)は、上手投げで宇良に敗れた(2026年15日撮影)

夏場所6日目 琴栄峰(右)は、上手投げで宇良に敗れた(2026年15日撮影)

―場所の終盤に重圧は感じましたか。寝れなくなったりしましたか

琴栄峰いや、それはあんまりなかったですね。緊張もしなかったし。もう上と取れるから思いっきり行こうぐらいの感じでした。むしろ、いつもよりかは緊張感は少なかったかもしれないです。その分、相撲に集中できました。本当にギリギリまで優勝も考えてなかったんで。

―12日目に不戦勝がありました。1日、取組がなかった影響は何かありますか

琴栄峰不戦勝は初めてだったんで、よかったのかなと思うんですけど、結果的にそれで2桁に乗ったんで。ただ、こっち(国技館)に来ての動きがちょっと変わったんで…。毎日の流れ的に言うと、その次の日はすごい嫌だというのがありましたし、一緒の動きしてなかったから、ちょっと気持ち悪い感じはあったんです。でも結果、その次の日、負けはしたんすけど、体は動いたんで、まあまあ悪くはなかったんじゃないですか。

―不戦勝の日は、軽めのアップにとどめた感じですか

琴栄峰そうです。ちょうど体も疲れてきてて、ちょっと軽めにしようと思って。疲れが抜けたのはよかったかもしれないですけど、リズムはちょっと狂いました。若干。

―今後も不戦勝があるかもしれません。いつもと同じことをした方がいいんですかね

琴栄峰いつもよりガンガンというよりも、要所要所、やるとこはやってっていう。今回は、だいぶ減らしたんですよ。それがちょっとよくなかったかもしれないです。

―場所を通してみると、いい経験になりましたね

琴栄峰そうですね。3月の春場所が初めての幕内勝ち越しで。まさか、その次の場所にこんな優勝争いができるとは思ってなかったんで。楽しかったですし。でもその分やっぱり負けた悔しさが残るところもあって、本当にすごい勉強になりました。

―夏場所前の巡業では、山響親方(元幕内巌雄)から四股とかトレーニングの指導を受けたと聞きました

琴栄峰そうですね。やっぱり今まで踏んでた四股より確実に足、腰、お尻とか全体にきて、体幹にも力入って、あのおかげで集中して、四股踏んだり、もっと集中力も上がったりとか、体だけじゃなくて精神的な面でもやっぱり強くなったのかなと思いました。きついこと我慢してやるっていうのは今まで、四股も自分の中でやってたつもりだったんですけど、やっぱりそれでも教えていただいたら全然足らなかったんだなっていうのは今、思っています。本当に感謝してますね。

―きつかったですか

本文残り72% (4665文字/6440文字)

スポーツ

佐々木一郎Ichiro Sasaki

Chiba

1996年入社。特別編集委員室所属。これまでオリンピック、サッカー、大相撲などの取材を担当してきました。X(旧ツイッター)のアカウント@ichiro_SUMOで大相撲情報を発信中。著書に「稽古場物語」「関取になれなかった男たち」(いずれもベースボール・マガジン社)があります。