ダルビッシュは、世にも珍しい「両投げ両打ち」? 

 ドジャースのダルビッシュが、2日(日本時間3日)のパドレス戦でド軍移籍後初の安打を放ちました。本職の投球で、自己最短となる3回でKOされたこともあり(?)、試合後は「今日はピッチングの話はなし」とジョークで切り出したのですが、それほど打撃はお見事でした。というのも、この日は本来の右打席ではなく、左打席に挑戦。第1打席こそ空振り三振に倒れましたが、第2打席に三遊間最深部へ華麗に流し打ち、内野安打をマークしました。

 2015年の右肘手術から復帰した昨季、右肘への負担を考慮し、左打席に立ったことがありましたが、今回の経緯は少しばかり異なります。というのも、ダルビッシュは、この試合の数日前から、遊び半分ではなく、真剣に左打席で打撃練習を行っていました。首脳陣にも自らの意志を伝え、ヘルメット、肘のプロテクターをオーダーし、左打席に立つ準備を進めていました。その結果が、安打につながりました。

 「左打者だったのかなって。今になって、正直、バントでも、右だとあんまり球が見えてないんですよ。左に立つと球が全部見えるので、バントも全然うまいんですよね? 三塁側もそうだし、一塁側もできる。球が全然速く見えなかったし、打てるんじゃないかなと思いました」

 野球界の認識として、打者の立つ打席には、「利き目」が左右されると言われています。片方の目をつぶってどちらか一方の目で見る場合、より見やすい方の目を「利き目」と呼ぶのですが、それが投手に近い方が、ボールを正確に、長く見極めやすいと考えられています。つまり、「利き目」が右の場合は左打者、左の場合は右打者に適しているという考え方です。ダルビッシュ自身も、「利き目」に関して同様の感覚を得たようです。

 「それはそうなのかなと思います。右打席で右翼に打っても、何となく遅れたから右翼に飛ぶとかそういう感じだった。左打席で打ってみたら、それの方が球見えてるじゃんと思って…」。

 ダルビッシュの場合、登板間には、体のバランス修正の狙いもあり、「左投げ」で調整することが広く知られています。その球速は、推定100キロ以上(?)とも言われており、練習では変化球も交えています。米国人の中には「先発の間に左でリリーフできるだろう」と、ジョークを飛ばす関係者がいるほどです。

 それほどダルビッシュが器用な証拠なのですが、右でも左でも投球し、しかも両打席に立てるのであれば、「両投げ両打ち」が可能ということになります。現時点では、公式記録上でも「右投げ両打ち」ということになりますが、将来的に「両投げ両打ち」が実現することばかりは…。