ヤンキース田中将大投手(28)が、オリオールズ戦で今季12勝目(11敗)を挙げ、日米通算150勝を達成した。楽天では7年間で99勝、メジャーでは4年目で51勝目となり、通算278試合目での達成。日本人では松坂大輔投手(37=現ソフトバンク)の285試合目を抜き、日米通算での最速記録となった。

 7回最後の打者からスプリットで空振り三振を奪うと、田中は大きく息を吐きながらマウンドを降りた。「ストレスのかかる投球ではありました」。ピンチに陥るたびに切り抜けた。4回、3番スクープに先頭弾を浴びた後、次打者に初球を中前に運ばれ、内野の失策で無死一、二塁になったときは、そこから連続空振り三振と内野ゴロでピンチ脱出。5回には先頭から四球と単打で再び無死一、二塁としたが、次打者を併殺に打ち取り追加点を許さなかった。7回の1死二、三塁の場面でも2者連続三振に退けて、度重なる厳しい局面で相手をねじ伏せた。

 メジャー51勝目で、日米通算150勝達成。プロ入り当時の10年前を「この世界に入ったときは、もちろんそんな遠いことは考えもしてなかったんで、200勝とか、そういう数字はすごく遠い数字だと思っていた」と回想し「本当にみんなに感謝したいですね。応援してくださる方もそうですし」と、自分を支えてくれた人たちへの思いを真っ先に口にした。

 今季は深刻な不振に陥り、苦労しながら自分の投球を模索し、復活した。それを経験しただけに、日本人最速で達成できた150勝は、喜びもひとしお。「1勝の重さ、難しさっていうより、野球の難しさを、すごく今年は感じました」と明かした。ジラルディ監督は「以前よりだいぶ、いい投球をしている。どう投球すればいいのか、自分で考え探し当てた。まだ若いのに、150勝は大変な偉業だ」とたたえた。

 試合開始直前には、球場の音響設備の不具合で音が一切出ず、田中のももいろクローバーZの登場曲も流れなかった。節目の勝利に思わぬアクシデントだったが、田中は「(違和感は)ありましたね。まあでも、いい記念になりました」と笑い飛ばした。【水次祥子】

 ▼田中が日米通算150勝(日本99勝、米国51勝)を達成した。07年4月18日ソフトバンク戦で初勝利を挙げ、通算278試合で到達。日本プロ野球の150勝スピード記録と比べると歴代3位相当。2リーグ制後に入団した選手では松坂(現ソフトバンク)の285試合を抜く最速となった。田中の日米通算勝率は7割8厘で、日本で150勝以上を挙げた48人の中で最高勝率の藤本英雄(6割9分7厘=200勝87敗)を上回る。なお、ダルビッシュ(ドジャース)が日米通算150勝にあと2勝だが、既に296試合で田中のペースには届かない。