「右キラー」のマエケンで王手-。ナ・リーグ地区シリーズ第2戦は、ドジャースがダイヤモンドバックス相手に逆転で2連勝を飾り、2年連続リーグ優勝決定戦進出へ王手をかけた。3番手で救援した前田健太投手(29)が、1回無安打無失点2奪三振と、主力の右打者3人を完璧に封じ、ポストシーズン初勝利を挙げた。第3戦は9日(同10日)、アリゾナ州フェニックスで行われ、ダルビッシュ有投手(31)が先発する。

 首脳陣が思い描くシナリオに、前田が完璧に応えた。ミッションは、ダ軍の得点源を担う右打者3人を封じることだった。3-2と逆転した後の5回表1死からマウンドへ向かい、まずは2番ポラックを3球三振。さらに、3番ゴールドシュミットは遊ゴロに仕留めた。続く6回表も続投し、4番マルティネスを時速95マイル(約153キロ)の高めの速球で空振り三振。反撃の糸口すら与えず、9球で役目を終えた。「1点差で緊張感もありましたし、自分の仕事が終わった時はホッとしました」。

 今季計95発の「右打者トリオ対策」こそ、今シリーズのカギだった。前田が救援に配置転換されたのも、先発左腕3人を持つド軍にすれば、攻撃的な意味合いを含んでいた。過去、ゴールドシュミットには打率2割4分、0本塁打。マルティネスは6打数無安打4奪三振。リリーバー前田は、勝敗を分ける切り札的な存在だった。

 実際、この日の前田の投球は、大砲封じのお手本だった。アッパー気味のバット軌道を惑わすカギは、外角スライダーと内角高めの速球を自在に操る技術。「怖がって細かいところを狙いすぎると逆効果。制球よりも力で押していこうと思いました」。9球中8球がストライクと攻め、1球投げたボールも「調子に乗りすぎないため」、意図的に投げたつり球だった。構想通りの結果に、ロバーツ監督も「これがケンタを登録した理由。彼は右キラーだ。必要なことをやってくれた」と手放しでたたえた。

 次は、王手をかけた敵地でダルビッシュが先発する。2歳年上の先輩に3連勝を託すことになる前田は「はい。でも、書かれてしまうので言わないけど…」と、笑いながら期待の言葉をのみ込んだ。前田の好投&初白星に、ダルビッシュが刺激されないはずはない。【四竈衛】