27日のワールドシリーズ(WS)第3戦でドジャース・ダルビッシュ有投手(31)を差別する言動があったとして、アストロズのユリエスキ・グリエル内野手(33)に来季開幕から5試合の出場停止処分が科された。

 そんな中、2人がしこりを残さないように取り持ったのが、昨年レンジャーズでダルビッシュと一緒にプレーしたこともあるア軍のカルロス・ベルトラン外野手(40)だった。

 ESPNデポルテス(スペイン語版)が、MLBの名物記者、ケン・ローゼンタール氏の記事をもとに報じた。

 同サイトによると、ベルトランはまず第3戦終了後、大勢の報道陣に囲まれる直前のグリエルと話し合った。

 プエルトリコ出身のベルトランと、キューバ出身のグリエルはスペイン語で気兼ねなく会話ができる仲。ただ、第3戦終了直後のグリエルは事の重大さに気づいておらず、多くのメディアが集まっていることを知ると、とても驚いていたという。そして「だれかを傷つけようとしたわけじゃないんだ」と繰り返した。

 そんなグリエルに対しベルトランは、同内野手の行動が差別に当たると説明。「オレたちがワールドシリーズを戦っていて、みんなが注目していることを忘れちゃダメだ」と諭したという。

 ベルトランはその後、ダルビッシュが出した「誰でも間違うことはある。この出来事から学ぶことができれば、人間としての大きな1歩となる」という声明を読んで感動。同投手へメールを出した。

 そこには「君の声明文を読んだよ。いかに君が素晴らしい人間か分かるものだった。それと同時にユリ(グリエルの愛称)も間違いを犯したことを悲しみ、後悔している。ヤツのことは好きだし、リスペクトもしている。それほど悪い人間ではないと思うんだ。だから何か君たちの間に問題があればオレに言ってくれ。君と君の家族に神のご加護がありますように」と記されていた。

 ダルビッシュもメールを返信。「僕にも家族がいる。だれも、自分の家族が悲しみに打ちひしがれているところを見たくはないと思う。みんな間違いを犯すし、僕だってたくさんやった。彼が間違いから学ぶことは、とても意味のあることだと思う。彼のプレーを見るのが好きだし、いつでも対戦したいと思う。その気持ちに変わりはないよ」などとつづった。

 ベルトランが、このダルビッシュからの返信メールをグリエルに見せると、同内野手はほっとした表情を浮かべていたという。ベルトランの“仲介”もあり、2人の間のわだかまりは完全になくなったようだ。