満を持して二刀流を抜いた。エンゼルス大谷翔平投手(23)が17日、昨年10月12日に行った「右足関節有痛性三角骨(足関節後方インピンジメント)除去術」から初となるブルペン投球を行った。千葉・鎌ケ谷の日本ハム室内練習場で立った捕手に29球。打撃の状態もうなぎ上りで、2月14日(日本時間15日)のキャンプインに向け歩を進める。

 セットポジション、1球あたり約10秒の間隔、三分ほどの力で、大谷は淡々と投げた。昨秋に右足首にあった骨の“ささくれ”を除去してから初の工程はもっと先に予定があったが、順調さから本人が申し出た。

 足元を気にせずプレートを蹴り、滑らかに推進した。術前は、患部が伸びた状態でマウンドを引きずる際、特に痛みを感じていた。白水トレーナーは「今日くらいは問題ないです。順調にいけば(捕手が)座る可能性はある。エンゼルス側と確認しながら、本人も入れプランをすり合わせて」と説明。投打どちらが欠けても大谷翔平ではない。両雄並び立てて海を渡る。

 もう1本の刃は着々と研ぎ澄まされている。ブルペン投球の直後、約40分間行ったマシン打撃に目を見張るものがあった。

 インパクトが別格だった。スイングスピード、バットとボールの衝突音、打球の速度と角度。どれもえげつなかった。右足の踏み込みが力強く、足首に深い前傾が入ってくさびとなり、動かない。ボールに対してもぐり込んでいくような右足の使い方は大谷の特徴で、規格外の打球を生み出す源泉でもある。次々と室内ネット最上部に差し込む打球が、患部の状態が良好であることを物語っていた。

 施術時に「新しいシーズンを万全の状態で」と誓った。制限なきプレーまで3カ月の見立てで、来月中旬のキャンプインまで1カ月の猶予がある。シナリオ通りだ。【宮下敬至】