エンゼルス大谷翔平投手(23)が、メジャーで初めて4番に入った。ジャイアンツ戦に「4番指名打者(DH)」でフル出場。通算123勝右腕のクエトに2三振を喫するなど4打数1安打だった。同一シーズンで3試合以上に先発登板し、4番に入るのは1961年のドン・ラーセン以来57年ぶり。24日(同25日午前9時10分開始予定)には同じア・リーグ西地区で首位を争うアストロズ戦で先発登板。敵地で昨季のワールドシリーズ覇者に挑む。

 大谷がついに「4番打者」となった。指名打者として10試合目の先発出場。過去9試合では6番が最上位だったが、初めて中軸に、しかも休養日だった不動の4番プホルスに代わって4番に座った。「たまたまプホルス選手が欠場なので入ったが、予想はあまりしていなかった」と受け止めた大谷の4番について、ソーシア監督は「打席の中での質は本当に素晴らしい。ボール(球)を追いかけることも少ない」と、選球眼の良さ、打席での分析力の高さを買ったと明かした。

 対決したのは通算123勝のクエト。14年には20勝、16年には18勝を挙げ、15年にはワールドシリーズを経験した百戦錬磨の右腕だ。体をひねったり、クイックで投げたり、投球リズムやフォームが一定ではなく、打ちにくい。「精度の高い球が来ていたので、さすがだなという感じはあった」。初回と4回には、低く沈むチェンジアップに空振り三振を喫した。

 攻略したのは3度目の対決となった6回1死一、二塁。カウント2-2からの5球目。低めのチェンジアップを、体勢を崩しながら、右手を伸ばして拾うように捉えた。打球は右前に落ち、満塁に好機を広げた。「各打者に対してカウント別にどういう配球なのか見ながら、打席に入れたんじゃないかなと思います」。4点を追う展開で出た大谷の4番初安打に、4万4544人が詰めかけた球場の雰囲気は最高潮に達した。

 オープン戦で32打席で4安打の不振から立ち直った大谷は「凡打の内容をふまえて、どうしてそうなったのか、次の打席でもっと良くなるように工夫しようと思っている」と言う。失敗を成功につなげられるから4番打者を任された。6回の打席では、その能力の一端を示した。

 もっともチームは2カード連続で負け越しとなり、「もうちょっと早い段階で1本出ていれば、ちょっと違う流れになった」と満足感はない。24日(同25日)には同じア・リーグ西地区の首位で、昨季のワールドシリーズ覇者アストロズと対戦する。「(チームが)流れ的に今、あまり良くないと思うので、そこを踏まえてしっかりと、自分の持っているものを出したい」。4番の次は、投手として大仕事が待っている。【斎藤庸裕】