ヤンキース田中将大投手(29)がエンゼルス戦に先発し、6回2安打1失点9奪三振の力投で今季4勝目(2敗)を挙げた。左足首を捻挫したエンゼルス大谷翔平投手(23)が欠場し、注目対決こそ実現しなかったものの、卓越した投球術を披露し、先輩メジャーリーガーとしての貫禄を見せた。大谷は当初の予定通り1日(同2日)のオリオールズ戦での先発登板に前向きな姿勢を見せた。

 大谷のような球速101マイル(約163キロ)に届かずとも、田中は快調なペースでアウトを重ねた。味方打線が2回までに大量10点を援護。試合を引き締めるためにもムダ球を減らした。メジャー移籍後はプレートを踏む位置を試行錯誤してきたが、この日は踏み慣れた三塁側から投球。原点に立ち返り、フォーシーム主体で勝負した。

 「試合で投げられるだけのものにはなってきた。精度はまだ上がっていくと思ってます。こんなもんじゃないです」

 4回裏、トラウトに初安打を許した直後にはアクセルを踏んだ。4番プホルスをフルカウントから最速94・8マイル(約153キロ)の外角速球で見逃し三振。中軸を3者連続三振に切った。同じコースからスライダー、スプリットを投げ分ける抜群の制球力で今季最多の9奪三振。一方的な展開でもあり、88球でお役御免となったものの、お手本のような投球だった。

 大谷の欠場で直接対決はお預けとなった。その一方で、先輩として温かく見守る姿勢ものぞかせていた。「二刀流」としての活躍はもはや言うまでもない。だが、過去に短期間で消えていった選手も数多く見てきた。前日、「本当に認められるのはシーズンを戦ってからだと思います」と話したのも、本音だった。

 エンゼルスとは5月25日(同26日)から本拠地での3連戦が予定されている。「長くプレーしていれば必ず当たる。何年も同じ舞台でプレーしていれば対戦する機会はある。その時は来ると思います」。継続する難しさを知る田中の言葉には、大谷へのエールが込められていた。【四竈衛】