【ボストン(米マサチューセッツ州)28日(日本時間29日)=斎藤庸裕】右肘内側側副靱帯(じんたい)を損傷し、離脱していたエンゼルス大谷翔平投手(23)が、最短で7月6日(同7日)に始まる本拠地でのドジャース3連戦で、打者復帰できる可能性が出てきた。PRP(プレートレット・リッチ・プラズマ=多血小板血漿)注射から3週間後に行われた再検査の結果、手術は回避。フリー打撃も再開した。マイナー戦などの実戦で調整し、その後にメジャー復帰となる見込みだ。

 大谷が帰ってくる。右肘の手術を回避し、打者復帰への準備が着々と整ってきた。7日(同8日)にPRP注射を受けてから3週間。再検査の結果についてエプラーGMがメディアの電話取材に応じ、「靱帯は回復していて、打者として戻ってこられる過程になっている」と話した。今後はフリー打撃、実際の投手相手の打撃、マイナー戦などでの実戦を経て、メジャー復帰させる予定。早ければ7月6日(同7日)からのドジャース3連戦で復帰できる可能性も出てきた。

 診断後、大谷は早速、両手を使ってのフリー打撃を開始。チームドクターから肘に負担はかからないと診断され、右腕を使ったスイングにもゴーサインが出た。具体的な復帰時期について同GMは「現時点では1日ごとに様子を見る。2、3日、通常の打撃練習をして、週末に状態をみて次のステップを考える」と明言を避けたが、週明けの2日(同3日)から投手相手の打撃練習ができれば、早期の実戦復帰も見えてくる。

 一方で、投手としての復帰には慎重だ。同GMは「少しずつ良くはなっているが、また3週間後に診断を行う」とし、その間はノースローで調整。本格的な投球練習の再開は7月下旬ごろとなる見込みで、「二刀流」としてのメジャー復帰は8月下旬または9月までずれ込みそうだ。

 チームは3日(同4日)からシアトルでマリナーズと3連戦。この間にマイナーで実戦の打席を積む可能性もあり、順調なら来週末での復帰もありうる。エプラーGMは「打者としてだけでも、チームと合流できるステップにまで来ていると思う」と期待する。PRP注射からわずか1カ月でのスピード復帰が、現実味を帯びてきた。

 ◆PRP注射 血液から血小板を大量に含んだ血漿(けっしょう)を取り出して注入、自己治癒力を利用した治療法。自分の血小板で組織の修復や再生を図るため副作用が少なく、アレルギーや感染症も最小限だとされる。投手の肘の場合は重症だと効果が小さく、復帰まで1年以上を要する靱帯再建手術を行う。スポーツによる障害のほか、一般的にも膝の変形などの治療に用いられている。