エンゼルス大谷翔平投手(24)に、明確な課題が表れた。マリナーズ戦の8回1死、代打で登場し、右腕コロメの内角カットボールに空振り三振に倒れた。前半戦で外角中心に攻められていた傾向が、後半戦では内角中心に逆転した。後半戦、2本塁打は放っているものの、打率は1割7分1厘。内角の克服が、復調の鍵となりそうだ。

 節目のメジャー10本塁打に到達目前で、大谷の課題が浮き彫りになった。鍵は「内角の攻略」だ。マリナーズ戦、8回1死から代打で登場。右腕コロメの90・9マイル(約146キロ)の内角カットボールに空振り三振。全6球中、内角が5球で、外角は1球もなかった。この3連戦で大谷を10打数1安打に抑えたマリナーズバッテリーのズニーノ捕手は「内角に少し穴がある」と明かした。

 後半戦に入り、内角球が激増している。前半戦、大谷へ投じられた内角球は214球で、外角へは322球。4月27日のヤンキース戦でセベリーノから内角球を捉えて弾丸ライナーの本塁打。セベリーノが「もう2度と内角には投げない」と嘆いたこともあり、外角中心の配球が多くなった。だが、後半戦10試合では内角球が61球、外角球が55球と割合が逆転した。データ重視のメジャー野球。蓄積された打席結果が「内角の穴」をあぶり出した。

 前日28日、16打席ぶりの安打(右翼フェンス直撃の二塁打)を放った後、大谷も「ここ数試合に関しては自分の方に問題がある。キャッチャーとのズレもある」と吐露していた。バッテリーの執拗(しつよう)な内角攻めに、形を崩されたようなスイングも目立つ。

 とはいえ、甘く入ってくれば1発で仕留められる能力がある。ズニーノも「ずばぬけた才能。昨日(28日)はこちらがミスをして、彼は対応した。注意深く投げないとやられる」と警戒度は高い。マリナーズだけでなく、今後は他球団も内角攻めを徹底する可能性も出てくる。強打者だからこその内角攻め。メジャー1年目での10号へ、ひと山越えなければいけない課題が表れた。【斎藤庸裕】