エンゼルス大谷翔平投手(24)が、確実な成長を見せる21号本塁打を放った。「3番DH」でレンジャーズ戦に出場。1回2死の第1打席、内角高めの初球を理想的なスイングで右翼に運んだ。約182キロの打球速度は21本中、最速。シーズンは残り5試合となったが、さらなる成長を目指し、最後まで全力を尽くす。

大谷は確信していた。「打った瞬間、入ると思った」。1回2死、第1打席の初球。右腕サンプソンが投じた90マイル(約145キロ)の内角高めのシンカーを捉えた。大リーグ公式のデータ解析システム「スタットキャスト」によると、打球速度は21本塁打中、最も速い約182キロ。5日に放った17号(6・8秒)に次ぐ、6・5秒という長い滞空時間で、美しい放物線を描いた。「芯で捉えているので、確実に捉えた時というのは飛距離も出ると思う」。速く、そして美しい。まさに会心の当たりだった。

内角球に対し、インパクトの瞬間、アッパースイングになることなく水平な軌道でボールを捉えた。「あの球に対して、しっかり最善のルートを通せた」。7月28日のマリナーズ戦では同じコースの内角ツーシームを捉え、フェンス直撃の二塁打だった。「フェンスを越えるのかなという打球が越えない。イメージとズレがある」と、バットがやや下から出て、本塁打となりにくいライナー性の打球となっていた。だが、この日は違った。打球は高く舞い上がった。「しっかり反応して、その(最善の)ルートを出せるかというのが大事。今日に関しては良かった」。無意識で理想のスイングが出来た。

チームのプレーオフ進出がなくなり、いわば消化試合が続くが、メジャー1年目の大谷にそんな意識はみじんもない。1球、1打席が貴重な経験だ。「消化試合だという感じは個人的にはしてない。毎試合、毎試合、個人的な部分ではすごい勉強になる。次の成長につながる」。常に自らのレベルアップを求める高いプロ意識が、結果につながった。自己最多は、日本ハム時代の16年にマークした22本。残り5試合、全力プレーで成長を続ける。【斎藤庸裕】