マリナーズ菊池雄星投手(27)が21日、アスレチックス戦(東京ドーム)で米大リーグ初登板、初先発した。立ち上がりから順調にアウトを重ねたが、勝利投手の権利を目前とした5回にボールが高めに浮き、強打のアスレチックス打線につかまった。結局4回2/3を投げ2失点で降板。初勝利はお預けとなった。

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大先輩からの助言が、新天地に挑む菊池を支えていた。昨年11月下旬。神奈川・箱根町で行われた西武の納会で、昨季限りでユニホームを脱いだ松井稼頭央(現2軍監督)のアドバイスに聞き入った。

松井 日本でやってきたスタイルを変えなくていい。そのスタイルを評価されてメジャーに行くわけだから。自分はいろんな情報を聞いて、自分のバッティングが分からなくなった状態で行ってしまったから。

日本人初の内野手メジャーリーガーとして活躍した男の苦悩を初めて知った。リスペクトするからこそ、すんなりと納得ができた。「松井さんクラスの方でも、そんな悩みがあったんだと…。言い方は変かもしれないですけど、新鮮だった。自分にとって、新しい考え方になりました」。

メジャーリーガーとして、マリナーズの一員として初めて挑んだキャンプ。生活環境、ボール、マウンド、言葉…。数々の変化を真正面から受け止め、少年のように「楽しかった」と振り返られたのは、松井からの言葉があったからこそだろう。真っすぐとスライダーでいかに勝負できるか。勝つためにどうするかを常に考え前進する。初勝利はお預けとなったが、その変わらぬスタイルで、メジャーリーガー菊池が第1歩をしっかりと刻んだ。