【アナハイム(米カリフォルニア州)19日(日本時間20日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(24)が、右肘の手術後では初めて野手の全体練習に参加してフリー打撃を行い、持ち前のパワーを披露した。

33スイングで9本の柵越え。昨年と比べて飛距離は遜色なかったが、構えに変化が見られた。重心を少し下げ、体全体を使うような力強いスイングで中堅から左方向に鋭い打球を連発。調整は順調で、5月上旬の復帰がいよいよ近づいてきた。

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大谷が、手術の影響を感じさせない力強い打球を放った。重心がやや低く、下半身のバネをより一層、効果的に使ったようなスイング。練習後、フリー打撃の感覚を問われ「昨シーズンの感覚と同じかどうかは難しいですけど、悪くはない。打球の質とか飛び方もそんなに悪くない」。33スイングで9本の柵越え。中堅から左方向が8本で、大谷の特長でもある逆方向への打球がぐんぐん伸びた。

22本塁打を放った昨年の構えと比べ、膝を少し沈ませた。大きくフォームが変わっているわけではないが、わずかな違いが表れていた。現時点で、大谷が一番意識している点は「自分の形でしっかりいくということ」。ただ「まだ実戦に入っていないので、自分の形になっているかどうかの確認はできていない」と話し、来週にも実戦形式の練習(ライブBP)を始め、打撃フォームを確認していくつもりだ。

既に3月末からフリー打撃は行っていたが、チームの野手陣に参加して行うのはこの日が初めて。報道陣にも初公開で、練習も通常の状態に戻りつつある。ライブBPを行うことで「感覚のところだけかなと思いますね。そこが大丈夫なら、自分でも試合に入っていけるという自信が出てくる」。打席での実戦感覚を養い、復帰への準備を進めていく。

順調にいけば5月上旬、7日のタイガース戦にも試合復帰が見込まれる。同4日からはメキシコでの2連戦があり、オースマス監督は大谷を遠征に連れて行くことについて「準備ができているなら、連れて行きたい。(可能性は)分からない」と話すにとどめた。大谷は「もっともっと(復帰時期が)早くなるように、個人的には頑張りたい」と意欲を見せた。打者復帰は着々と近づいている。

◆大谷のノーステップ打法への変更 1年目の昨年、オープン戦では15打席無安打が続くなど、独特の投げ方が多いメジャー投手の前に苦しんだが、開幕3日前の3月26日ドジャース戦から新打法に着手。タイミングをとる際、右足を上げてから打ちにいくフォームだったのを、足を上げずにすり足に近い形で打ちにいく形に変え、この試合では左腕ヒルから早速ヒット。わずか数日で感覚をつかむと、打者での出場2試合目となった4月3日インディアンス戦でメジャー初本塁打。同試合から3試合連続本塁打の活躍で、週間MVPにも選出された。