ドジャース前田健太投手(31)がパドレス戦に先発し、投打のワンマンショーで今季5勝目(2敗)を挙げた。6回2/3をわずか3安打の無失点、今季初めて無四球で、奪三振は今季最多の12をマーク。バットでも、決勝2点打を含むマルチ安打を決めた。圧巻の投球と自慢の打棒の“二刀流”でチームを3連勝に導いた。

前田のボールに、相手のバットが面白いように空を切った。2回途中から4回まで打者6人を連続三振。1試合12奪三振以上は昨年5月23日ロッキーズ戦以来、メジャー3度目。すべて空振りでの12奪三振は、自身も経験がないという。「理想のピッチング。すべての球種をうまくコントロールできた」とうなずいた。

伸びのある速球に絶妙のコースを突く変化球を巧みに交え、打者を幻惑した。この日の大きな武器となったスライダーは「スピードや変化の大きさ、コースをうまく使って振らせるのが理想的。それができた」と納得顔。しっかり捉えられた打球は4回に3番マチャドに打たれた右翼方向への二塁打のみと、終始相手を支配した。ロバーツ監督も「これ以上の投球はないというほどの内容。速球を狙い通りに使いスライダー、チェンジアップを散らす。見ているのが楽しかった」と絶賛した。

ピッチングだけでなく、バットでもチームを引っ張った。0-0の2回2死二、三塁。「バットに当てれば何かが起こる」と5球目のスライダーに食らいついた。右翼手の前に落ちる先制の2点ポテン適時打。チームはその後、追加点を挙げられず、この1打が決勝打となった。米データ情報会社エライアスによると、打点が公式記録となった1920年以降、1試合で12奪三振以上とチームの全打点(2打点以上)を記録したのは、前田が史上初だった。

前回10日のナショナルズ戦に続き、6回以上を投げて無失点。2試合連続の好投でチームトップタイの5勝目を挙げた。7回途中85球で降板する際には、監督へのブーイングが飛び、前田へのスタンディングオベーションが起こった。スタンドが酔いしれた圧巻の“二刀流”ショー。「投手としてありがたい。いい感覚で投げられて、いい結果につながっている」と、勝利をかみしめた。

▼前田が3打数2安打2打点と打撃でも活躍した。日本人投手のマルチ安打は川上(ブレーブス)が09年4月16日マーリンズ戦で2安打を打って以来10年ぶり。前田のV打は4度目で、日本人投手では野茂の5度に次ぐ多さ。日本人投手のV打を含むマルチ安打は、野茂が96年8月15日カージナルス戦、03年7月17日カージナルス戦で記録したのに次いで16年ぶり3度目。