【スコッツデール(米アリゾナ州)12日(日本時間13日)=四竈衛、斎藤庸裕】ポスティングシステムでのメジャー移籍を目指すDeNA筒香嘉智外野手(27)に、ブルージェイズなど複数球団が高い関心を示した。

GM(ゼネラルマネジャー)会議2日目、代理人ジョエル・ウルフ氏が既に7、8球団と情報交換済みと明言。中でもブ軍のGMは筒香の応援歌にも興味を示すなど本気度を伺わせた。今週末にも申請を行い、DeNA残留も選択肢に入れ、交渉を本格化する。

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カナダのトロントで「Go!Go!TSUTSUGOH!」が聞けるかも!? GM会議開催中のリゾートホテルで、ブルージェイズのアトキンスGMが筒香を高く評価した。「素晴らしい打者。優れた才能がある」と印象を明かした上で、「見ていて本当に楽しい。我々は彼が打席に入った時の応援歌が大好きだ」。♪横浜の空高く~ の前奏で始まる筒香の応援歌を引き合いに出すほど、熱を帯びた。

ア・リーグ東地区のブ軍は再建中のチームで、打者ではゲレーロJr.ら若手が主体。右の強打者が多く、左打者獲得に動く可能性は十分にある。筒香の代理人ウルフ氏が「彼は指名打者ではなく、三塁、一塁、外野も守れる。今のメジャーでは高い価値がある」と売り込めば、同GMは「多才でエキサイティングな選手であることは間違いない」と力を込めた。

ブ軍以外にも、一塁や外野で左の強打者が手薄なホワイトソックスも補強ポイントと合致する。既に7、8球団と情報交換を済ませたウルフ氏は「多くの球団から興味があると聞いている」と自信を見せる一方で、ウインターミーティング開催の12月中旬までに「決まらなければ横浜に戻るだろう。DeNAは戻ってくることも歓迎している」と残留の選択肢があることも明かした。「長い間この仕事をしているが、チームもGMもそういうリスペクトがあるというのは初めて」。DeNAの筒香への姿勢も含めて、サポート態勢は整っている。

正式なポスティングの申請時期については、最終的には球団に委ねられるが、今週末にも行われる予定。西海岸、東海岸に限定せず、「毎試合出場して、勝ちに貢献できる、そういうチームでプレーしたいというだけ」とウルフ氏は筒香の気持ちを代弁した。アメリカへGo!となるか。DH制のないナ・リーグの球団も含め、本格交渉がまもなくスタートする。

◆筒香の応援歌 前奏で「♪横浜の空高く、ホームランかっ飛ばせ筒香」と歌われる。元々は田代富雄(現チーフ打撃コーチ)の現役時代の応援歌で、「筒香」の部分が「田代」だった。

◆ブ軍に所属した日本選手 過去にブルージェイズでプレーした日本選手は、野手では川崎宗則(13~15年)と青木宣親(17年)。川崎は3年間で計201試合に出場したが、青木は1カ月しか在籍していないため12試合の出場のみ。投手では五十嵐亮太(12年)大家友和(07年)マイケル中村(04年)が在籍した。

◆ブルージェイズ事情 今季は67勝95敗でア・リーグ東地区4位と低迷したが、スター候補であるゲレロ、ビジオ、ビシェットの二世若手内野手トリオを抱え、長期的視野でチーム再建に当たっている。期待の若手以外はどのポジションも流動的で、総年俸にも余裕があり、今オフは大きく動く可能性も。外野には元DeNAのグリエル弟がいるが、トレードで放出する可能性が伝えられており、一塁と外野は来季の体制が固まっていない。