エンゼルス大谷翔平投手(28)が6日(日本時間7日)のタイガース戦前、レジェンド右腕・ロジャー・クレメンス氏の四男コディ・クレメンス内野手兼外野手(26)に、直筆サイン入りの記念球と粋なメッセージを送った。クレメンスは前日5日、9点差をつけられた8回に野手でありながら登板。キャリア初三振を大谷から奪い、そのボールを記念にロッカーに保管していた。この日、クラブハウスの用具係を通じて記念球にサインもらい「最高だね。クールなことだよ」と興奮気味だった。

サインとともに英語で添えられていた言葉は「What a nasty pitch(なんてえぐい投球だ)!」。決め球は68・4マイル(約110キロ)のスローボール。からかい上手な大谷のいたずらっぽい笑顔が見えてきそうなメッセージだった。実際に試合前のクラブハウスでは、試合球とペンを片手に何やらニヤニヤしながら、楽しそうな表情を見せていた。

8月中旬のツインズ戦では、敵軍の遊撃手コレアの妹が大谷の大ファンで、試合前にツーショット写真に応じた。昨年の球宴でも他選手からサイン攻めに遭い、ブルージェイズ・ゲレロからは記念撮影をお願いされた。今や、敵地に遠征中でも空き時間にペンを走らせる姿も珍しくない。

チームは5日(同6日)、8年連続で地区優勝を逃した。現在の借金は16で、プレーオフ進出を狙える位置にはいない。それでも大谷は、時に厳しい表情でチームを鼓舞し、勝てば大いに笑う。勝ちに貪欲な二刀流の全力プレーは変わらない。激化するヤンキース・ジャッジとのMVP争いの中でも、ピリつくことなくON・OFFを切り替え、千変万化な顔を見せる。だから皆から愛される。見る者をワクワクさせるのは、敵味方も関係ない。粋なメッセージ付きの直筆サインをもらったクレメンスのうれしそうな表情が、そんな球団の垣根を越えた大谷のスター性を物語っていた。

○…エンゼルスは今季5度目のサヨナラ勝ちを収めた。トラウトの3戦連発となる31号ソロで先制し、序盤で3点リード。8回に同点とされたが、延長10回1死一、三塁からシエラがセーフティースクイズを決めた。ネビン監督代行は「素晴らしいバントだった」とたたえ、チームの2連勝に目を細めた。大谷は4打数無安打。7日(日本時間8日)は最高気温37度と厳しい暑さが予想されるデーゲームに出場する見込みだ。

▽エンゼルス・トラウト(3戦連発の31号ソロ)「まだミスショットもあるが、タイミングが合ってきている。皆が勝ちに貢献して、僕もその一員になれて楽しい」