【ナッシュビル(米テネシー州)5日(日本時間6日)=四竈衛、斎藤庸裕】大本命が堂々と沈黙を破った。

ドジャースのデーブ・ロバーツ監督(51)が、エンゼルスからFAとなっている大谷翔平投手(29)と数日前にドジャースタジアムで面談を行い、大谷獲得が「トップ・プライオリティー」であることを明言した。歴史的FAの争奪戦で大本命とみられているド軍だが、大谷サイドから情報漏えい禁止のかん口令を敷かれる中で大々的に公表。ベールに包まれてきた各球団との交渉の状況に、一石を投じた。

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大谷獲得へ潔く、おとこ気たっぷりに、ドジャースの指揮官が口を開いた。30球団の監督が2日間で順々に行う公式会見。大本命とされるド軍のロバーツ監督は、カブスのカウンセル新監督とともに、トリで登場。幾多の修羅場をくぐってきた常勝球団の勝負師は、余裕からか、笑顔満載で臨んだ。すると開始から数分後、直接交渉を行った事実を包み隠さずに明かした。

「ウソをつくようなことはしたくない。(面談したことは)いずれ分かることで、我々は既に彼に会った。それに関して自分自身、この組織の誰もが、ウソはつきたくないと思っているだろう」

最終候補に残っているとみられるジャイアンツ、ブルージェイズ、エンゼルスの監督や球団幹部は口を閉ざし、沈黙が続く。ド軍のゴームスGMにしても、面談の事実についてコメントを避けた。一瞬、ためらったようにも見えたが、ロバーツ監督だけが思い切って公表。戦力補強についても当然、編成部門を中心にさまざまなプランがあるはずだが、同監督は「間違いなく、ショウヘイはトップ・プライオリティー(最優先)だ」と断言。大谷の決断が近づいている状況で正々堂々と、戦に挑むサムライのようだった。

とはいえ、禁断のラインを越えたわけではない。情報漏えいを防ぐ大谷サイドに「それはフェアなことだと思う。プライベートなことに関して、ショウヘイやネズ(バレロ代理人)の気持ちもリスペクトしたい。何を話したかを話すつもりはない」と、詳細は完全に伏せた。大谷との直接交渉は6年前、17年のオフ以来。当時の印象と比較し、同監督は「何が望みか、より明確になっていると感じた。毎日の日々が、どんなものになるのかを、より感じているようだった」と語った。

面談は本拠地ドジャースタジアムで、2~3時間ほどだったという。同監督は大谷の表情について「彼はポーカーフェースだからね。でも、心の中で笑ってくれていたと思う」と願いを込め、「彼との時間を過ごせて、うれしかった」と正直な気持ちを明かした。まっすぐな熱意を隠す必要もない。争奪戦に敗れたとしても、悔いは残さない。どちらに転ぼうが、断固たる覚悟が見えた。