壷井達也が明かす引退翻意の裏側 三浦佳生との深夜ドライブ、断ったセレモニー

フィギュアスケート男子の壷井達也(23=シスメックス)は今季限りでの現役引退を覆し、7月から始まる新シーズンの休養を経て、26―27年での競技会復帰を目指します。

決断の裏側に何があったのか―。このほどオンラインインタビューに応じ、三浦佳生との夜のドライブや競技者としての目標などを語りました。

フィギュア




◆壷井達也(つぼい・たつや)2002年(平14)12月17日、愛知・岡崎市出身。3歳から競技を始め、12年から全日本ノービス選手権に4年連続出場。18年4月から愛知・中京大中京へ進学。同年の全日本ジュニア選手権優勝、全日本選手権7位。21年から神戸大国際人間科学部に進学。22年世界ジュニア選手権3位。同年からシスメックスの所属となり、GPシリーズにも初出場。GPの最高成績は24年NHK杯3位。同年全日本選手権3位。25年世界選手権21位。26年から神戸大大学院人間発達環境学研究科に進学。身長165センチ。



25年12月20日、全日本フィギュア 男子フリーでの演技

25年12月20日、全日本フィギュア 男子フリーでの演技

全日本フリーから数時間…三浦との深夜ドライブ


ヘッドライトが都心の夜道を照らす。

師走の深夜はぐっと冷え込んでいた。

車の助手席に座った壷井は、横でハンドルを握る三浦の声に耳を傾けていた。

「時間が足りなかっただけじゃない? 五輪どうこうではなく、この先続けていけば、もっと伸ばせる余地があると思う」

もっと伸ばせる―。

静かな熱を帯びた言葉は、すっと胸に入ってきた。


25年10月16日、GPシリーズフランス大会へガッツポーズで意気込む壷井(左)と三浦佳生

25年10月16日、GPシリーズフランス大会へガッツポーズで意気込む壷井(左)と三浦佳生

「もっと伸ばせる」仲間から授けられた言葉


時計の針を数時間前に戻す。

2025年12月20日。代々木第1体育館。

壷井は全日本選手権の男子フリーに臨んでいた。

ショートプログラム(SP)10位から大逆転を狙ったが、演技冒頭で打ち砕かれた。

今季から組み込んだ4回転トーループで転倒すると、続く4回転サルコーもあえなく転倒。フリーは15位に沈み、合計も207・43点にとどまった。

目標としていたミラノ・コルティナ五輪が絶望的となり、思わず涙があふれた。


25年12月19日、日本フィギュア 男子SPは10位と出遅れた

25年12月19日、日本フィギュア 男子SPは10位と出遅れた


「これで引退だな」

今季は大学を休学してまで、競技にかけてきた。「今季が区切りになる」という思いは、ずっと胸にあった。

夢に届かなかった現実を前に、あらためて「引退」の2文字が頭に浮かんだ。

取材エリアで報道陣に囲まれると、素直に思いを口にした。

「ここで終わりでいいと、本当に今、思っています。今シーズンで現役は引退させていただきます」

現役引退のニュースは、瞬く間にネットやSNSで拡散されていった。

壷井は会場を後にすると、現地に応援に来てくれていた大学時代の友人数人と食事へ出かけた。気の知れた仲間と話すと、心が休まった。

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岐阜県不破郡垂井町出身。2022年4月入社。同年夏の高校野球取材では西東京を担当。同年10月からスポーツ部(野球以外の担当)所属。
中学時代は軟式野球部で“ショート”を守ったが、高校では演劇部という異色の経歴。大学時代に結成したカーリングチームでは“セカンド”を務めるも、ドローショットに難がある。