故郷への思いを込めた会心のスイングだった。ホワイトソックス村上宗隆内野手(26)が29日(日本時間30日)、本拠地でのヤンキース戦に「2番一塁」でフル出場。

8回に、3試合ぶりとなる23号同点ソロを放った。この一打で息を吹き返したチームは延長12回、サヨナラ勝ちで地区首位の座をキープした。村上も4打数1安打1打点3得点1四球と活躍し、6試合連続安打、15試合連続出塁をマークした。

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故郷の熊本弁なのか、英語なのか、はたまたスペイン語なのか、は定かではない。二塁ベースを蹴り、三塁へ向かう村上は、三塁側のダッグアウトへ向かって雄たけびを挙げた。8回、3-4と1点差に詰め寄った直後。救援右腕ブラックバーンの初球、外角低めへのカーブを払うようにバットに乗せ、左中間スタンドへ運んだ。本拠地のボルテージを最高潮に上げる同点ソロに、村上の不屈の思いが込められていた。

苦境でも、決して弱音を吐いたり、あきらめたりすることはしない。初回の4点ビハインドを追う展開から、1番アントナッチの2ランで1点差に迫った8回。「(前打者が)いいホームランを打ったので、続こうと思って打席に立った」。初対戦の相手でも、打席前の予習で持ち球はインプット済み。「カーブは)ある程度頭に入っていたし、反応して打つことができた」。見逃せばゾーンぎりぎりの難球でも、集中力を研ぎ澄ませた村上には、想定内の軌道だった。

熊本・九州学院高2年時の16年4月、大地震を経験した。同地のシンボルでもある熊本城の石垣が崩れ落ち、その後、必死に復興を目指す故郷の人々の姿を目の当たりにしてきた。プロ入り後は、復興支援を続けてきた。数日前には、両親がシカゴへ駆けつけたばかり。久しぶりの熊本弁は耳に心地良かった。そんな矢先、またしても故郷が災害に見舞われた。同僚らから気遣う声をかけられたといい「みんな心配してくれる。すごくありがたい」と感謝する。前日、こぼした「こういう時こそ、少しでも…」の思いを、打席でのスイングに込めた。

初回に4点をリードされながらホ軍は終盤、同点に追い付いた。延長11回に1点を勝ち越されても、食らい付いて同点に追い付き、最後は12回に差し切った。「勝ち切れたことはすごく良かった」。野球の苦境と、生命の危機に瀕(ひん)している故郷の苦難は比べるまでもない。ただ、遠い米国の地にいる村上は、今自分にできること、だけを胸にバットを振り抜いた。

◆大谷超え 村上が23号ソロを放ち、メジャー1年目の大谷の本数を上回った。大谷はエンゼルス時代の18年に22本をマーク。これで村上は日本選手の1年目の本塁打数で、今季の岡本に次ぐ2位となった。