<アスレチックス4-5マーリンズ>◇6月30日(日本時間1日)◇オーバーストックドットコムコロシアム

 アスレチックス松井秀喜外野手(37)のバットが点火しない。マーリンズ戦で本拠地初の外野守備となる「4番左翼」で先発したが、4打数無安打に終わり、チームも連敗した。メルビン監督代行が就任してから、復調気配も見せたが、結局は過去打率3割と得意の6月は2割と低調のまま。試合前はクラブハウスで火事騒動が起きた。

 松井のバットは水をかけられたように湿りっぱなしだった。初対戦となったボルスタッドのシンカー系の球に手を焼いた。内野ゴロ4つで2戦連続無安打。好球を待ちきれずに手を出しているのかと聞かれ「それもあるかもしれないが、どちらかといえば相手の球がよかったと思う」と終始、歯切れが悪かった。

 バットの火は消えたままだが、試合開始1時間前のクラブハウスでは何と火事が起きた。松井のロッカーと反対側の一角から突然、1メートル以上の火柱が起きた。「Fire!(火事だ)」。辺りは騒然となったが、広岡広報が水をかける消火活動ですぐに鎮火した。一連の騒動をロッカー前から、1歩も動かず眺めていた松井は「(火事が拡大しても)逃げる時間はたっぷりあったから」と、悠然としていた。

 救援投手フェンテスが無線で操縦する飛行機のバッテリーを充電していたところ、発火したのが原因だった。すでに8敗と大炎上している同投手が引き起こすあたりが、チームの苦境を象徴する珍事だった。

 激動の6月が終了。戦力外危機にあった中で9日の指揮官交代から流れをつかみ、19日の試合まで3本塁打、9打点。日米通算500号にも王手をかけた。だが同21日に外野守備に就き始めてから1割9分2厘、0本塁打、1打点と成績が低下。この日も本拠地で初めて外野起用され「体調は変わった感じはしない」と言うが、凡打の内容は変化している。

 同監督代行は「私はそうは思わないが、外野起用の疲れはあるかも。1週間前と同じスイングではない」と疲労を可能性に挙げた。チームは敗れて再び借金2ケタ。「ずっと踏ん張りどころです」(松井)。緑ゴジラが火を噴かなければ、プレーオフ争いの灯も消える。【オークランド(米カリフォルニア州)=広重竜太郎】