虎をなめてもらっては困る!

 阪神鳥谷敬主将(33)が1月31日、沖縄・読谷村内のチーム宿舎で新ユニホーム発表会見に出席し、現有戦力での10年ぶりリーグ制覇に自信をみなぎらせた。チームはオフの大型補強に失敗したが、それでも「全然戦える」。海外FAを宣言しながら阪神に残留したキャプテンが、熱い言葉で号砲を鳴らした。

 球団創設80周年を迎え、歴史と伝統の重さをあらためて肌で感じた。新たな縦じまユニホームに袖を通した瞬間、目つきは勝負師のそれに変わる。「大事な1年になる。ユニホームを着て、始まるなと感じる」。鳥谷が熱い言葉でチーム全体を奮い立たせた。

 「今のメンバーで全然戦えると思っている」

 チームは大型補強を逃し、ドラフト戦力を除けば昨季からほぼ変わらない顔ぶれで15年を迎えた。メジャー挑戦を視野にいれていた鳥谷の残留が「一番の補強」と評される状況だ。現有戦力に対する不安、疑問の声は嫌でも耳に入る。そんな周囲の声に真っ向勝負を仕掛けた。

 「あとは若い選手、個人個人が上積みできれば、いい1年になる」

 残留を決めた最大の理由は、1度も経験できていない日本一への渇望だ。2年目の05年リーグ制覇について問われた時は必ず、「(先輩方に)させてもらった優勝」と表現する。主将として4年目を迎える今年はキャンプから若手の技術向上を積極的にサポートしていくつもり。V奪回に向け、自分だけでなくチーム全体の底力アップを狙う。

 昨季はCSファイナルステージこそ4連勝で巨人を蹴散らしたが、シーズンでは7ゲーム差をつけられ3連覇を許した。王者は相川、金城のいぶし銀獲得で層を厚くし、広島にはヤンキースから超大物黒田が帰ってきた。昨季最下位のヤクルトも成瀬、大引と積極補強を続け、侮れない存在となった。それでも鳥谷は虎が持つ潜在能力の高さを信じている。

 冷静なキャプテンの言葉だからこそ、「戦える」というメッセージはナインの心に響く。「キャプテンという立場で優勝に向けてしっかりやっていきたい」。メジャー挑戦か残留か、悩み続けた2カ月間に別れを告げ、さあ球春到来。「虎の鳥谷」が気持ち新たに本格始動する。【佐井陽介】