「MS CRAFT BASEBALL TURF」が採用された台北ドーム
「MS CRAFT BASEBALL TURF」が採用された台北ドーム

台北市のど真ん中に、最高峰の人工芝が根を張った。ミズノが開発した野球専用人工芝「MS CRAFT BASEBALL TURF(エムエスクラフトベースボールターフ)」が初めて海を渡り、台湾初のドーム球場である台北ドームに採用された。日本製の芝がなぜ台湾の球場に使用されるのか。そこには国際的に評価される品質と信頼があった。

「MS CRAFT BASEBALL TURF」

建設中の台北ドーム
建設中の台北ドーム

ランドマークタワーとして有名な台北101やデパートが立ち並ぶ中心街のほど近く、台湾の人々を熱狂させる新たなスポットがオープンした。その名も「台北ドーム」。23年12月にこけら落としされたばかりの、台湾初の多目的ドームだ。野球開催時には4万71席の収容人数を誇り、コンサートなどのイベントも今後行われる予定だ。3月2日からは巨人が台湾プロ野球の2球団(中信兄弟、楽天モンキーズ)と親善試合を行う。

最注目の施設を足元から支えるのがミズノの「MS CRAFT BASEBALL TURF」だ。日本ではZOZOマリンや京セラドームでも使用され、プロ野球フランチャイズ球場トップシェアを誇る人工芝だ。台湾は昨年末に開催されたBFAアジア選手権で準優勝するなど野球熱が高い。球場設備などへの審美眼は厳しく、求められる水準は並大抵ではない。そんな下地がありながらも「MS CRAFT BASEBALL TURF」は高い評価を得た。

ロッテ藤岡「足腰の負担少なく、疲れが全然違う」

ZOZOマリンで守備をするロッテ藤岡
ZOZOマリンで守備をするロッテ藤岡

なぜ、支持を集めるのか。プレーヤーは体で知る。ZOZOマリンを本拠地としてプレーするロッテ藤岡裕大内野手(30)は「足腰の負担が少ない」と力をこめる。「芝が長い感じで、クッションが効いている。本当に疲れの部分で全然違う。他の球場でもいろいろやってますけど、固いところだと疲労がすごくて…。ミズノさんの人工芝だと1年通して戦うときに、ケガが少なくなると思う」とうなずいた。

野手だけでなく、ロッテの投手陣も変化を感じている。唐川侑己投手(34)は「打球の動き方が全然違う。イレギュラーとか、変な弾み方がない」と話せば、守護神・益田直也投手(34)も「走りやすい。ホームだと練習でも負担がかからない中でできるので、助かります」と笑顔を見せる。疲労軽減、イレギュラーバウンドの少ないプレー環境の向上は長いシーズンを戦う上で、確実なプラスとして働いている。

耐久性アップ 天然に近い「特殊捲縮加工」

「MS CRAFT BASEBALL TURF」が採用されたZOZOマリン
「MS CRAFT BASEBALL TURF」
が採用されたZOZOマリン

選手の体感に現れるように「MS CRAFT BASEBALL TURF」の特長は大きく8つある。
①耐久性
②形状復元性
③長期安定性
④衝撃吸収性
⑤プレー安定性
⑥充填(じゅうてん)材安定性
⑦バウンド性
⑧景観性

ひと目で分かるのが芝の形状だ。縮れているのだ。直毛型と呼ばれるピンと張ったこれまでの物と違い、天然の芝葉に近い形の特殊捲縮加工が行われている。使用による耐久性が低下しにくく、経年による形状変化も少なくなった。芝の倒れなどのメンテナンスも軽減されたり、衝撃の吸収力も上昇。選手のケガの予防にもつながっている。

また一般的にチップと呼ばれる人工芝の間に入っている充填(じゅうてん)材も直毛式のものと比較すると飛散しにくく選手の目にチップが入ったりする危険性を抑制している。ボールのバウンドも安定し、なおかつ客席からはパイルの縮れが照明などが照らす光を乱反射。天然芝に近い美しい景観性となった。

これらの特長は芝生の素材や形状、ボリュームなどを徹底的に分析・研究して、約5年の歳月をかけて生み出されたものだ。

コンサートでの「へたり」を軽減

台北ドームに採用された
「MS CRAFT BASEBALL TURF」

またイベント使用時や使用後の回復も容易という点も大きなポイントに挙げられる。台北ドームはコンサートなどのイベント活用も見込まれる。これまでは近隣の台北アリーナが約1万5000人規模の会場として存在していたが、台北ドームは約6万人の動員が可能で、多目的な使用も期待されている。音楽ライブなどのドーム公演ではグラウンドをアリーナ席として使用するのが一般的で、観客は人工芝の上に土台を敷いた座席を使用する。そのため野球使用時よりはるかに大きな荷重がかかってしまい、これまでの人工芝は〝へたったり〟する性能低下が危惧されていた。

「MS CRAFT BASEBALL TURF」は芝の形状変化や性能低下を抑え、また重さで倒れた芝もブラッシングで簡単に復元が可能だ。日本国内でもZOZOマリンや京セラドームでは多くのアーティストが公演を行っており、実績も十分。品質と信頼性はどこにも負けないと言い切れるものだった。

野球だけでなく、エンターテインメントでも通用する最高峰の人工芝。「MS CRAFT」の名前の通り、ミズノの巧みな技術を根っこに、海を渡って人々の感動や熱狂を支えている。

ベルーナドーム&甲子園でも採用

◆MS CRAFT BASEBALL TURF

ミズノの人工芝「MS CRAFT BASEBALL TURF」は2016年に旧西武プリンスドーム(現ベルーナドーム)に採用され、2018年にZOZOマリンと京セラドーム大阪、2021年にバンテリンドーム、2022年に甲子園(ウオーニングゾーン)と国内プロ野球5球場で導入されている。

ドーム・屋外球場ともに対応が可能で、野球、コンサートなどあらゆる場面で活躍する強度が持ち味だ。

2023年には、耐久性アップと環境負荷軽減を実現した「MS CRAFT BASEBALL TURF」がベルーナドームに導入された。

開場記念始球式に王貞治氏が登場

◆台北ドーム

計画から32年後に完成した台湾初のドーム球場。両翼102メートル、センター120メートル。天井の高さは74.5メートルで、東京ドーム(56.2メートル)など日本のドーム球場より広く設計されている。野球開催時の観客動員数は4万71席。23年12月にはこけら落としとなるアジア野球選手権が開催され、開場を記念する始球式には王貞治氏が登場した。

【提供】ミズノ株式会社