WBA世界ライトフライ級1位久田哲也(34=ハラダ)がデビュー15年10カ月でついに世界初挑戦する。久田が、10月1日、エディオンアリーナ大阪で世界2階級覇者のWBAスーパー世界同級王者京口紘人(25=ワタナベ)に挑戦することが1日、大阪市内で発表された。

大阪出身者同士の“大阪決戦”だが、2人のキャリアは対照的だ。久田はデビュー46戦目。国内ジム所属選手として、平成以降ではリック吉村の45戦目を上回る“最も遅い世界初挑戦”になる。王者京口はデビュー1年3カ月の国内最速で世界王座を奪取した。カメがウサギに挑む。

久田は「やっとたどり着きました。30歳過ぎて、周りに『もう無理やろ』と何回も言われて、踏ん張って…」と感慨深げな表情を浮かべた。「京口選手はパンチもあって、ディフェンスもうまい。戦うには難しい、偉大なチャンピオン。でも、応援してくれた人、支えてくれた人の思いも拳に乗せて、僕が絶対勝ちます」と待ちこがれたチャンスを前に、闘志を隠せない。

辞めようと思ったことはある。14年4月と7月、30歳目前に2戦連続ドロー。15年3月の30歳初戦は判定負け…。ジムを2カ月離れた。「あと1年ダメだったら」と決めた。日本王座を奪い、5度防衛。三十路(みそじ)の13連勝で、世界に手をかけた。

家族のおかげだ。妻淳子さん(34)は中学の同級生。久田が道頓堀のたこ焼き店でアルバイトする一方、子供服売り場のパートで頑張ってくれた。

長女一歌(いちか)ちゃん(9)に続き、昨年11月には双子で朱莉(あかり)ちゃん、乙葉ちゃんが生まれた。「長女に『世界チャンピオンにならんかったら、もうしゃべらへんで』と言われてます」。何が何でも負けられない。