日本相撲協会の諮問機関である横綱審議委員会(横審)の定例会合が、大相撲春場所千秋楽から一夜明けた28日、東京・両国国技館で開かれた。前任の矢野弘典委員長(産業雇用安定センター会長)から委員長を受け継いだ、衆院議員を12期務め自民党副総裁や法務大臣、外務大臣などを歴任した政治家の高村正彦委員(80)が報道陣の代表取材に応じ、各委員の声も含め春場所を総括した。
激しい攻防で見応えのあった春場所千秋楽の優勝決定戦については、その前段の本割で「優勝に絡んだ3人全員が負けてしまったが、それを補ってあまりある優勝決定戦だった。二人とも堅くなったでしょうが、堅くなることを吹っ飛ばすような気力を持って戦ったのは、ひじょうに良かったと思います」と振り返った。そして初優勝を遂げた関脇若隆景については「完成度の高い相撲取りなので、伸びる余地がどれぐらいあるのだろうかと思っていたら、さらに完成度を高め、これからもさらに高まっていくのではないかという期待を持たせるような取り口だった」と高く評価した。
途中休場した横綱照ノ富士については「ぜひ膝を早く治して横綱として場所に帰ってきてほしい」と切望した。膝や内臓疾患で大関から序二段まで陥落後、奇跡の復活を果たした照ノ富士のこれまでの相撲人生については「頭の下がるような経歴」と称賛した上で「下から前傾を崩さず常に相手を正面にすえて、膝に対しても一番こたえないやり方で勝ちきるという型を持っているが、あまりに膝が悪いと補いきれない。膝が良くなるようにと祈ることしか出来ない」と語った。
3大関に対しては、新大関で11勝と“勝ち頭”の御嶽海には「相撲もうまいし、それなりの実績もある」としながら「勝ち星はそれほど悪くはないが期待からすれば、ちょっと物足りない」と注文も。ともにかど番脱出ながら、6日目まで1勝5敗と苦戦した正代、8勝止まりだった貴景勝を「大関として、もう一踏ん張りしてほしい」と苦言を呈しながらも「貴景勝は頭から怖がらずに当たる相撲が復活していた。しっかりやってくれると今後に期待する」とし、正代についても「白鵬も恐れた立ち合いのスピードがある。いざという時の吹っ切れの良さというものにかけて取れば、期待できないわけではない」と奮起に期待した。
委員として10年目ということもあり、委員長の任期は1年。これまでの在任中に日馬富士、鶴竜、稀勢の里、照ノ富士の横綱昇進の諮問を受け、答申してきた横審の立場から「(諮問に対し)答申できるような人が現れてくれるといいなと思います。相撲ファンが面白いと思えるような相撲を取ってもらいたい。横審がお役に立てることがあれば幸せ」と委員長としての抱負も語った。

