コロナ禍は、各大学の入試戦線にも多大な影響を与えた。受験生が減少した原因は、地方の受験生が首都圏にある大学を敬遠したからだという。コロナに感染する可能性が高いと決めつけられ、地元の通学できる大学を目指したらしい。とくに女子の受験生が減った。

大学経営者としては、特徴のある個性的な学部を設置して、他大学との違いをアピールせねばならない。日体大は2018年に「スポーツマネジメント学部」をスタートさせた。スポーツに関する経営と管理を専門に学ぶ学部だが、それだけでは特色がない。

そこで、カリキュラムの中に、F1レーサーやパイロットを養成すべく、そのための選択科目を置いた。自衛隊のアクロバット飛行隊である、「ブルーインパルス」の隊長が日体大OBであったことからヒントを得て、パイロット養成にも乗り出した。また、スポーツ文化学部の学生が、みごとパイロットに合格した刺激も、私たちにやる気を起こさせた。

各自動車メーカーのみならず、部品を製造する企業は自動車のテスト走行をする。そのテストドライバーが求められるのだが、それだけではおもしろくない、「F1レーサーを養成しよう」ということになった。一筋縄では養成できないのは承知しているが、挑戦する気骨を日体大は持たねばならない。

そこへビッグニュースが飛び込んできた。スポーツマネジメント学部2年の角田裕毅君が、小林可夢偉選手以来、7年ぶり10人目のF1グランプリのフル参戦で日本人ドライバーになったというのだ。F2選手権で3勝を挙げて、F1のスーパーライセンスを取得したのだ。本学学生による初の快挙である。

日体大は教員養成が得意ではあるが、多様多彩な人材を多方面にも送り出している。私は、おもしろい大学にしなければならないと考えている。コロナ禍と少子化の波に負けないためには、普通の大学では受験生が遠のく。もちろん金メダリスト養成も忘れてはいない。