中学硬式野球の日本ポニーベースボール協会の2023年事業計画がこのほど決定した。コロナ禍で控えてきた国際大会が完全復活するほか、新設される女子のワールドシリーズを7~8月に日本で開催。9月に海外から選手を招く親善大会を秋田県で行う。米国に本部を置く、世界最大の少年野球組織らしく、より世界へ、世界から日本へ、野球を通じた国際交流を広げていく。

【各年代Wシリーズも復活 野球通じた国際交流広がる】

「試合を通じて選手を育てる」を柱とするポニーリーグのビッグイベントが日本で開催される。女子選手の国際大会「SSKカップポニー・ガールズ・ベースボール・ワールドシリーズ2023」が新設され、7月31日から8月4日まで、栃木・小山市などで行われる。米国以外でワールドシリーズが開催されるのは初めてで、小山市は同協会の広澤克実理事長の故郷でもある。

ポニーリーグでは現在全国に約40人の女子選手が所属する。昨年夏の全日本選手権で初めて選抜チーム「ルミナスポニー」を結成。女子の部として初めて社会人のクラブチームと対外試合を行った。大敗したが、各選手とも充実の表情を浮かべた。同協会の那須勇元事務総長は「女子野球に対して、この年代で国際大会を経験できるものが用意されていない。我々の組織力を生かして、各国に大会を呼びかけました」という。今回の日本代表は参加希望者を募集。ホスト国だけに人数によっては、複数チームを登録する予定だ。

各年代の国際大会も復活する。今年はコロナ禍でアジア予選を行わず、コルト大会に日本代表を派遣したが、来年は「アジアパシフィックチャンピオンシップトーナメント」として、パロミノ(U-18)、コルト(U-16)、ポニー(U-14)の予選を日本で実施。優勝チームが7、8月に米国で行われるワールドシリーズに進出する。

ワールドシリーズを少年野球で命名できるのは、メジャーリーグと密接な関係にあるポニーだけで、3年ぶりに名門大会が復活する。日本代表の選考会を兼ねた「大倉グループインビテーション広澤克実杯」は5月13~14日に佐賀・武雄市で行われる。

また、コロナ禍以前から、「日本で試合がしたい」「日本選手のマナーを自分たちの選手に見せたい」という要望が各国から寄せられていた。そこで、9月16~18日に「マルハンカップ北日本国際親善トーナメント」を秋田県で開催する。一方でポニー本部のある米ピッツバーグやロサンゼルスで8月に行われる「日米親善大会」(大倉グループ協賛)も再開する。

国際大会だけでなく、「エスプランナーカップ第7回全日本選抜中学硬式野球大会」(3月25日開幕、沖縄)、「第49回全日本選手権大会」(7月21日開幕、東京・江戸川区球場ほか)の全国大会の日程も決定した。「木製バットの導入」「肩肘検診の徹底」「投手の球数制限」「出場選手のリエントリー制度」など、中学球児に寄り添った取り組みを続けてきたポニーが、来年は野球を通じた交流や発見など「学び」をより意識した大会を繰り広げる。

【声出しなど一部ルール見直し「選手育てる体制を」】

協会主催試合での一部ルールが見直される。今秋の明治神宮大会高校の部で、投手が投球モーションに入っても、攻撃側ベンチから大声がだされることに対し、守備側の監督が抗議する場面があった。ポニーリーグでも審判部を中心に検討して、同行為は野球規則6・04(競技中のプレーヤーの禁止事項)「ボールインプレーのときに『タイム』と叫ぶか、他の言葉または動作で明らかに投手にボークを行わせようと企てること」に該当すると判断。試合中に投手にボークを行わせようと企てていると担当役員、責任審判が認めた場合は監督に対して注意。その後も繰り返された場合はイエローカードを出すことになった。故意でなくても、選手への指示(走者への『バック』など)以外の大声や奇声も対象になる。

味方への声かけは野球に欠かせないが、相手を惑わしたり、サイン盗みを疑われることにつながるため、マナーとして選手に指導していく。

また、各団体が採用する投手がボールを受け取ってから20秒以内に投球またはけん制しないといけない「20秒ルール」については、1年生大会などで試験的導入してから、あらためて検討する。投手のボークに対して、1度目は注意する流れがあったが、明らかな違反は「1発ボーク」を宣告することとした。ただし、審判部は「疑わしきものに関しては育成の観点をふまえて、注意、指導することで、指導者、審判一体となって選手を育てる体制をとりたい」としている。