日曜のG1チェアマンズスプリントプライズ(芝1200メートル、シャティン)に出走するリトルブローズ(牡3、父パーインセント)は、この開催に出走する唯一の3歳馬です。

日本では皐月賞が終わったばかりで、この時期に3歳馬が古馬と走ることはありませんが、南半球産で約半年早く産まれているリトルブローズは、日本馬なら3歳の後半時期。負担重量は122ポンド(約55・5キロ)で、他馬より4ポンド(約1・5キロ)軽くなっています。

オーストラリア出身で、いまは香港を本拠とするデビッド・ヘイズ厩舎に所属するリトルブローズは一昨年11月に豪州のフレミントン競馬場、芝直線1000メートルの重賞(G3マリバーノンプレート)でデビューしました。オーストラリアでの管理調教師は、その息子たち(ベン&JDヘイズ)です。

デビュー戦2着から臨んだリステッド競走で勝ちあがったリトルブローズは、その後、約2カ月半の間隔を空けて3戦目となったG3ブルーダイアモンドプレリュード(芝1100メートル)で2着に好走。メルボルン地区の3歳馬がめざすG1ブルーダイアモンドS(芝1200メートル)に駒を進めました。

16頭が参戦した2歳王者決定戦は直線で複数の馬が、横一戦に並ぶ大混戦となりましたが、残り200メートルでエンジンを全開させたリトルブローズが、あっという間にライバルを置き去りにして優勝。デビューから4戦目でビッグタイトルをつかみました。

その後はG1ゴールデンスリッパーS(8着)など5戦して勝てず。昨年10月のG1コーフィールドギニー(8着)を最後に香港に渡りました。

香港では父ヘイズ調教師のもとで12月から調教を再開、馬が環境に慣れて目標をチェアマンズスプリントプライズに決めた3月からは積極的にバリアトライアル(実戦形式の調教)に参加、最初のそれでは2位で入線したビクターザウィナーをぶっちぎって注目を集めました。

都合5度目となった先週4月19日のハッピーバレー競馬場のバリアトライアルでも軽快な動きを見せていて、臨戦態勢は整ったと見て良さそうです。

ブックメーカーによる前売りオッズは11頭立ての11番人気(!)。香港初出走が人気の盲点になっているようです。ビクターザウィナーやカリフォルニアスパングル、それにのマッドクールなど年長のG1ホースは強そうですが、ヘイズ親子による入念な仕上げを見逃すわけにはいきません。


(ターフライター奥野庸介)

※競走成績などは2024年4月26日現在