◇3月25日~4月1日◇大阪・大阪シティ信用金庫スタジアムほか◇64チーム参加

中本牧シニアが1998年(平10)以来、2度目の優勝旗を手にした。小林鉄三郎(3年)、鈴木陽仁(3年)の左腕2枚看板が初戦から交互に試合を作り、決勝まで6試合を8失点で、チーム目標の「全国青覇(せいは)」をまず達成。次は夏の日本選手権、ジャイアンツカップの「完全青覇」を目指す。24チームが出場した関東連盟勢で、世田谷西、千葉市、武蔵府中が8強入りした。

【次は夏の選手権&ジャイアンツカップ】

薄曇りのナニワの空に、「雨あがりの夜空に」の替え歌が響いた。

♪愛してるぜ We are 中本牧! 気持ち込めて歌うのさ…

終わるとベンチ前の青いユニホームの輪が、真ん中で歌う「背番号13」永山浬(かいり)主将(3年)を包み込んだ。準決勝までなかった試合前の儀式だ。永山主将は「みんな緊張気味だったので、リラックスさせようと思いました」。この儀式は準々決勝で破った世田谷西が恒例にするもの。「はい。『セタニシ』の分までって、思いもあったんです」。

味方に目を配り、ライバルのことも忘れない。やさしい主将の願いは通じた。2回までに6得点。あとは先発・鈴木が6回2失点、女房役の北垣旺己(3年)のリードもさえて、バッテリーはビンビンだぜ!! その間、永山主将は声を出し、ボールを拾い、バットも運んだ。強烈なリーダーシップではなく、半歩後ろから見守るように。マウンドにできた青い輪にも、最後の方に駆けつけた。そして、ベンチ前でもう1回。

♪愛してるぜ We are 中本牧!

村上林吉監督(75)は代々、主将には正捕手を選んでいたが、夫人でもある静代会長の薦めに納得した。「やさしいし、あの人柄がね。立派な人間に育ててやろうと思って、怒ってばっかりだよ」と説明した。もっぱら怒られ役で、今大会の出場は準決勝最終回2死から一塁の守備についただけ。少し悔しいが、次に狙うのは2004年夏以来の選手権優勝。さらに大きな夢もある。自分より大事なことがある。「目標は完全青覇なので、大阪で1つめが取れてよかったです」。すっかり晴れわたった空が、中本牧ブルーに染まった。【特別編集委員・久我悟】