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紙面企画

W杯のツボ

W杯のツボ

試合のプレー、珍プレーなどの出来事を掘り下げて検証する企画。南アフリカW杯の「スーパープレー、お宝発掘」をリニューアルし、スーパープ レーや勝負のあやに迫ります。

スペイン敗退 暗い影を落とした過密日程


<W杯:スペイン0-2チリ>◇1次リーグB組◇18日◇リオデジャネイロ

 前回王者スペインが2連敗を喫し、1次リーグ敗退が決まった。オランダに1-5と大敗したのに続き、チリにも完敗。初の大会連覇を逃した。5月24日の欧州チャンピオンズリーグ(CL)決勝を戦ったDFセルヒオラモス(28=Rマドリード)、FWディエゴコスタ(25=Aマドリード)らは初戦に続いて動きに精彩を欠き、過密日程という見えない「敵」にも苦しんだ。

 前回王者があっけなく散った。象徴的なシーンは前半20分。球際での激しさが持ち味の「闘士」セルヒオラモスが、中途半端な寄せでFWサンチェスに左サイドで簡単にパスを通されると、ゴール前でもFWバルガスに寄せきれず、早々に失点を喫した。オランダ戦でFWロッベンに何度も振り回されたDFの要は、2戦目でも本来の姿はどこにもなかった。

 攻めても「救世主」と目されたFWディエゴコスタがブレーキとなった。前半27分に好機でシュートを外すと、後半4分にも決定的な場面で判断が遅れ、シュートは相手DFに防がれた。受けたパスもわずか17本。全く見せ場をつくれぬまま、後半19分に途中交代した。守るべき選手が守れず、取るべき選手が取れず、チームの歯車は狂った。前半43分には直接FKをGKカシリャスがパンチングではね返したボールが、相手選手の足元へ。あっさり2失点目も喫した。

 くしくも「マドリードダービー」となった5月24日の欧州CL決勝を戦ったチームの看板選手だ。今季のクラブサッカーシーンをにぎわした主役たちの動きは悪かった。昨年8月からのシーズンで、セルヒオラモスはレアルで52試合をこなし、一方のディエゴコスタは46試合を戦い、右太ももの故障も抱えた。中2日、3日という過酷なスケジュールで1年間、蓄積した疲労の影響は否めなかった。

 デルボスケ監督 チームのアクティブさ以上の何かが足りなかった。いいコンディションにあると思っていたが現実は違った。チリ戦の前半、オランダ戦の後半がすべてを表している。

 スペインに暗い影を落とした過密日程。ピーキングを合わせる難しさを知る、12年ロンドン五輪代表スタッフのJ1仙台・里内フィジカルコーチはこう分析した。「当然ピークは欧州CL決勝だったと思うが、その1カ月後にもう1度ピークに持っていくのは難しい。頭の中が戦闘態勢ではなく、体がついてこなかったのではないか」。

 クラブでの成功とW杯の結果が結びつかないのは、これまでの常。セルヒオラモスが「強い思いを持って挑んだが、大会のレベルになかった」と言えば、シャビアロンソも「成功への飢え、志を持ち続けるすべがチームになかった」。いみじくも10年欧州CLでは、チームの根幹をなしたバルセロナは準決勝で、レアルは16強で早々と敗退。本大会では尻上がりに調子を上げ、世界一に輝いた。スペインの1次リーグ敗退は、長丁場のシーズンの最後にW杯で活躍することの難しさを、あらためて証明した。

 ▼前回王者の1次リーグ敗退 今回のスペインが5例目。50年大会のイタリアが最初で、66年大会のブラジル、02年大会のフランスと続き、前回10年大会はイタリアが2度目の屈辱を味わった。今回のスペインは2連敗で1得点7失点。前回王者が初戦から連敗して敗退が決定したのは初めてで、7失点も計6失点を喫した66年のブラジルを1試合未消化で上回った。

<過去の欧州CL決勝→W杯>

 ◆02年Rマドリード2-1レーバークーゼン フランス代表MFジダンがスーパーボレーを決め、レアルの優勝に貢献。だがW杯では直前に故障し、1試合だけの出場でフランスも1次リーグで敗退した。スペイン代表FWラウル、ポルトガル代表MFフィーゴも本大会では期待に見合う活躍はできなかった。

 ◆06年バルセロナ2-1アーセナル ブラジル代表ロナウジーニョが攻撃のタクトを振り、バルセロナはリーグ優勝の2冠を達成。期待されたW杯では日本戦の1アシストに終わり、準々決勝で敗退した。

 ◆10年インテルミラノ2-0Bミュンヘン カメルーンFWエトー、アルゼンチン代表FWミリトを擁し、ミリトの2ゴールで優勝。ただ2トップはW杯では輝くことなく、アルゼンチンは8強で、カメルーンは1次リーグで早々に敗れた。

















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