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紙面企画

W杯のツボ

W杯のツボ

試合のプレー、珍プレーなどの出来事を掘り下げて検証する企画。南アフリカW杯の「スーパープレー、お宝発掘」をリニューアルし、スーパープ レーや勝負のあやに迫ります。

ファンハール変幻采配で8強


<W杯:オランダ2-1メキシコ>◇決勝トーナメント1回戦◇6月29日◇フォルタレザ

 これぞマジック! 敗色濃厚だったオランダが、名将ルイス・ファンハール監督(62)の采配で生き残った。メキシコに1点リードされた後半に3つのシステムを使い分け、FWファンペルシーに代えて投入したFWクラースヤン・フンテラール(30=シャルケ)が終了間際に1得点1アシスト。逆転勝ちを収め、準優勝した前回大会に続く8強入りを果たした。

 1点を追う後半31分、ファンペルシーに代えて初出場となる187センチのフンテラールを投入した。直後の給水タイム。ノートを手にしたファンハール監督は選手へ次々に指示を与えた。3分間の即席ミーティング。ここまで使用していなかった「プランB」と呼ぶパワープレー戦術を伝えた。

 カイトを前線に上げる4-2-4システムに移行。力ずくで点を奪いにいった。後半43分、右CKからフンテラールが頭で折り返し、スナイダーが右足で同点ゴールを決めた。直後、カイトが再び右サイドバックに戻り、4-3-3システムで安定をはかった。勢いは続く。そしてロスタイムにロッベンがPKを獲得。フンテラールが落ち着いて決め、土壇場で逆転した。

 最初は守備的な5-3-2システムで入った。戦術理解度の高さを買ってFWカイトを左サイドバックで起用。自陣に引いてカウンターを狙ったが、メキシコの堅守に加え暑さの影響でプレーの精度を欠き、決定機を作れなかった。後半3分に先制点を許すと、同11分にDFフェルハーフに代えてFWデパイを投入。伝統の4-3-3に変更した。守備を1人削って前線を厚くし、カイトを右サイドバックに移してロッベンとの連係で攻め上がった。「みんな慣れている形。切り替えがうまくいった」(ロッベン)と言うように、一気に流れを引き寄せた。

 実は、試合前から「知将」の策は始まっていた。「選手の水分を維持するため、給水の時間をとってほしい」と試合前の会見で話し、主審にお願い。カステラン競技場は気温32度、湿度68%の過酷な状況。主審は今大会初の給水タイムを設けることを決めた。オランダは給水タイムを有効に使ってシステム変更をスムーズに行い、くしくもその3分間が加算されたロスタイムにPKを獲得した。

 終盤の攻防について、元オランダのスーパースター、クライフ氏は「今大会で見た一番美しい20分間だ。カイトがいれば、戦術的にチームは強い」と絶賛。ネイマールに依存する王国を引き合いに「(オランダと)ブラジルとの差は大きい。スコラリ監督はスター選手にしかプレーをさせず、ほかの好選手はベンチだ。それはチームもサポーターもがっかりさせる」と、指揮官の違いを強調した。

 崖っぷちからの生還。作戦を実行した選手たちに対し、指揮官は「信念を持って戦ってくれた。とても満足しているし、大きな自信になる」。名将に率いられ、悲願の優勝へオレンジ軍団が勢いを増した。

 ◆ルイス・ファンハール 1951年8月8日、オランダ・アムステルダム生まれ。現役時代はMFとしてアヤックス、AZなどでプレー。引退後に指導者の道へ進み、91年にアヤックスの監督に就任。94年からリーグ3連覇し、94-95年の欧州CLでも優勝を果たした。バルセロナ、オランダ代表、AZ、バイエルンなどで監督を歴任。12年7月に2度目のオランダ代表監督に就任した。規律を重んじ、システムを重視。今大会終了後、マンチェスターUの監督に就任する。

















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