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主演女優賞ー深津絵里「悪人」

【受賞発表記事】

 「根性だけはあるんです」と、「悪人」の舞台あいさつで話していた深津絵里(37)が、主演女優賞を獲得した。ほぼノーメークで出演、極寒の日もあった。逃避行の末にたどり着く灯台のシーンは、トイレもない場所でのロケだった。過酷な環境だったが、スクリーンの中の深津は、物語が進むにつれ透明感を増していった。選考会では「顔をぐしゃぐしゃにして泣いても、きれいだと思った」と評された。内面から出る美しさだった。

 受賞の報は、主演舞台「春琴」のヨーロッパ公演から帰国した翌日に聞いた。今日2日からの東京公演に備える中「何か1つでも欠けていたらできなかったと思うような、私にとっては奇跡みたいな作品です。この作品に出会えたことに、あらためて感謝したいと思います。みんなで必死に作った結果が、このような賞につながったかと思うと、本当にうれしい。ありがとうございました」と、コメントを寄せた。

 映画に出演しはじめて22年たつ。多作ではないが、それぞれの作品に大きな役割を果たす女優だ。「阿修羅のごとく」「踊る大捜査線」シリーズ、「博士の愛した数式」など準主役級の作品ではもちろんだが、最近では「ホノカアボーイ」など、出演シーンは少なくても、確実に印象を残していく。

 深津は「自分はつまらない人間なんです。演じていなければ何もない人。役に生かされてるんです」と言うが、そこがまさに女優なのだ。【小林千穂】

[2010年12月2日 紙面から]

 ◆深津絵里(ふかつ・えり)1973年(昭48)1月11日、大分県生まれ。中学2年の時「ミス原宿コンテスト」でグランプリを獲得。88年、映画「1999年の夏休み」で女優デビュー。ほかに映画は「ザ・マジックアワー」など。来年、三谷幸喜監督の「ステキな金縛り」が公開。ドラマ「きらきらひかる」「恋ノチカラ」「スローダンス」など。舞台でも活躍しており、今日2日から「春琴」に出演。血液型O。

 ◆悪人 土木作業員の祐一(妻夫木)は恋人もおらず、祖父母の面倒を見て過ごす青年だった。一方、佐賀に住む光代(深津)は、勤務先の紳士服販売店と妹と同居するアパートを往復する退屈な日々を送っていた。出会い系サイトで出会った2人は心を通わせるようになったが、祐一は殺人を犯していた。2人の逃避行が始まる。ほか柄本明、樹木希林、岡田将生、満島ひかりら出演。

主演女優賞・選考経過
 深津と「川の底からこんにちは」の満島ひかりが、決選投票まで争った。「深津さんは普通の細い女の子に見えるのに、映画に出るとあんなに存在感がある。素直な女優さん」(神田紅氏)。「満島は、主演映画を1人で支えた。しじみ売りで人心をつかんだ。感動的な演技だった」(櫻井修氏)。満島の今後を見たいという意見もあり、深津の受賞が決まった。

日刊スポーツ映画大賞

「タイトル」監督 記事
作品賞 「悪人」
  李相日監督
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監督賞   三池崇史監督
  「十三人の刺客」
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主演男優賞   妻夫木聡
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主演女優賞   深津絵里
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助演男優賞   稲垣吾郎
「十三人の刺客」
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助演女優賞   蒼井優
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新人賞   仲里依紗
「ゼブラーマン−ゼブラシティの逆襲−」「時をかける少女」
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外国作品賞 「ハート・ロッカー」
  ブロードメディア・スタジオ
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石原裕次郎賞 「THE LAST MESSAGE 海猿」
  羽住英一郎監督
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石原裕次郎新人賞   高良健吾
「おにいちゃんのハナビ」「ソラニン」ほか
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ファン大賞 「BANDAGE バンデイジ」 記事アイコン授賞式記事
石原裕次郎賞・石原裕次郎新人賞とは
 1987年(昭和62)に亡くなった、戦後を代表するスター石原裕次郎さんの遺志を引き継ぎ、日刊スポーツ映画大賞に併設。石原プロモーションが運営に全面協力している。その年に最もファンの支持を得て、スケールの大きな作品に贈られるのが石原裕次郎賞。裕次郎さんをほうふつとさせる将来性豊かな、映画デビュー5年以内の新人に贈られるのが、石原裕次郎新人賞。賞金は各300万円、100万円。

日刊スポーツ映画賞

妻夫木聡「悪人」が主演男優賞

第23回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞の授賞式が28日行われ、妻夫木聡が「悪人」で主演男優賞を獲得。




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