第13回

第13回ドラマグランプリ　助演女優賞

助演女優賞は大政絢

ドラマグランプリ助演女優賞に輝いた大政絢（撮影・神戸崇利）

　「第１３回日刊スポーツ・ドラマグランプリ」の助演女優賞は、ＴＢＳ系「ヤマトナデシコ七変化」に出演した女優大政絢（１９）が受賞した。デビュー５年目で初めて連続ドラマのヒロインに抜てきされ、「ホラー少女」という奇妙な役に挑戦。第１話の終盤まで顔を隠して演技するなど、体全体で表現した巧みな芝居でファンの支持を集めた。

　大政は学生時代を通じて、賞とは縁がなかった。賞状とトロフィーを受け取る際には、初体験のセレモニーに笑顔がはじけた。「とてもうれしいです。どうしましょう。トロフィーは飾らずに、しまっておいた方がいいのかな？」。周囲から「北海道の実家に持っていくの？」などと突っ込まれ、照れていた。

　ヒロインなのに、顔を見せない。セオリーに反するルックスで、ファンの心をつかんだ。役柄の中原スナコは、失恋を機に自分が“ブス”だと思い込み、前髪で顔を隠してしまう。「顔が見えないという状況で、どうやって皆さんに自分の表情を伝えればいいのか、苦戦しました。指を動かしたりとか、体全体を使うお芝居を学びました」。歩き方や走り方、身ぶり手ぶりで喜怒哀楽を表現。引きこもりで言葉数が少ない難役をこなした。

　得票結果は、２位以下に大差をつける圧勝だった。綾瀬はるかや新垣結衣ら映画主演クラスの先輩たちを退けた。「この役をやる前は不安だったんです。共感してもらえるか、怖かった。でもドラマを通じて、スナコの純粋で真っすぐな性格が分かってもらえたのかなと思います」。見た目のコンプレックスを乗り越え、亀梨和也が演じる主人公・恭平との恋を実らせていくというストーリーが、視聴者の支持を得たようだ。

　中２の時、観光で東京・台場を訪れ、現在の所属事務所にスカウトされた。高１で北海道から上京。本格的に女優業を始めた。「東京に出てきたからには、仕事１本で頑張らないといけない。周りに友人がいない状況で、どれだけ自分がなじめるか。目の前のお仕事があったので、前向きな気持ちを保つことができました」。ＢＳ－ｉ（現ＢＳ－ＴＢＳ）のドラマに出演して実績を積み、０８年「ニュータイプ　ただ、愛のために」で映画初主演。上京５年目で、連ドラヒロインの座に駆け上がった。

　「毎回、台本をもらう度に、自分なりに解釈したり、読み込んだりしてます。演技を始めたころは、現場で緊張してばかりだったんですけど、今は現場を自分の空間にできるようになりました」。宮崎あおいや堀北真希らを発掘したことで知られる丹羽多聞アンドリウ・プロデューサーなど、出会う人たちのアドバイスを受け入れ、成長を続けてきた。嫌なことがあっても、「一晩寝れば大丈夫」という気持ちの強さも女優向きだ。「今までオーディションをたくさん受けて、たくさん落ちてます。最終まで残って落ちると、ダメージも大きいですけど、次の日になったら、前向きになります」と話した。

　今後もモデル活動と並行して女優を続ける。「スナコの演技で、女優としての幅を広げてもらって、これからの強みになりました。幅広い役をこなして、いろんなことに挑戦していきたい」。事務所の先輩と似た容姿から、「ポスト柴咲コウ」と期待される。「大先輩のようになりたいですし、頑張りたい。歌ですか？　エヘヘへ。まずは演技の方を固めたいです」。伸びしろを感じさせる１９歳だ。【柴田寛人】

　◆プロフィル  大政絢（おおまさ・あや）本名同じ。１９９１年（平成３）２月４日、北海道滝川市生まれ。中学時代から少女漫画やファッション雑誌のモデルとして活躍。現在「ＳＥＶＥＮＴＥＥＮ」専属モデル。０６年のＢＳ―ｉ「東京少女～ＴＯＫＹＯかしましガールズ～」でドラマデビュー。昨年は「メイちゃんの執事」、「ブザー・ビート」などに出演。１６４センチ。血液型Ｏ。特技はテニス。

　◆選考経過  大政が２位以下に１０００票以上の大差をつけて受賞した。綾瀬はるかの票が２位と３位に分かれたが、両方足しても大政には追いつかない。約９０００票の女性票のうち、約２５％が大政に集まる人気ぶりだった。男性票のみでは、大政は１２位。綾瀬が１、２位に入った。年代別では、大政が１０代～５０代まで１位を獲得。同世代から親の世代まで、広い年齢層の支持を集めた。

　◆対象作品  「ヤマトナデシコ七変化」　イケメン過ぎることがコンプレックスの主人公・恭平（亀梨和也）が、下宿代をただにしてもらう代わりに、大家のめいで引きこもりのスナコ（大政絢）をレディーに変える約束をする。４人の美男子と、ドクログッズなどホラー好き少女の大騒動を描くラブコメディー。原作は累計７５０万部の同名人気コミック。共演は手越祐也、内博貴、宮尾俊太郎ら。