大阪地検特捜部が捜査した業務上横領無罪事件の取り調べで「検察なめんなよ」などの言動をしたのは違法として、特別公務員暴行陵虐罪で付審判決定を受けた元特捜部の検事田渕大輔被告(54)は10日、大阪地裁(大森直子裁判長)で開かれた初公判で「言動を行ったことは間違いないが、陵虐には当たらない」として無罪を主張した。

最高裁によると、職権乱用を巡り不起訴となった公務員を刑事裁判にかける付審判制度で、検察官が裁かれるのは初。

検察官役の指定弁護士は冒頭陳述で、長時間にわたる取り調べでの罵倒は違法だとし「わが国の検察官の取り調べの在り方が根底から問われる」と指摘。田渕検事が怒鳴り続けていた様子を特捜部長ら検察幹部も録音・録画映像で見ていたにもかかわらず、問題視することはなかったと批判した。

大阪高裁の付審判決定などによると、田渕検事は2019年12月、不動産会社プレサンスコーポレーションの社長だった山岸忍氏=無罪確定=の元部下の取り調べを担当。机をたたき「(検察官は)人の人生を狂わせる権力を持っている」「プレサンスの評判をおとしめた大罪人」などと長時間にわたり叱責や罵倒をしたとされる。

元部下は山岸氏の事件への関与を供述したが、大阪地裁は21年、田渕検事の発言の影響を否定できず供述は信用できないとして山岸氏に無罪判決を言い渡した。山岸氏は無罪確定後、付審判を請求し、高裁が24年8月に審判に付す決定をした。(共同)