強制性交や強盗致傷容疑で逮捕され、勾留中の無職樋田淳也容疑者(30)が大阪府警富田林署から逃走した事件で、樋田容疑者が一般来庁者の使う正面玄関ではなく、護送用の裏口から逃走したとみられることが14日、捜査関係者への取材で分かった。樋田容疑者は5月に逮捕されて以来、勾留中に何度も通っており、署の構造を把握していた可能性がある。敷地南側の塀には、樋田容疑者のものとみられる靴跡が複数発見された。

 樋田容疑者が富田林署から逃走した12日夜から2日。いまだに、行方は分かっておらず、府警は府内全域で逃走犯を捜している。

 富田林署敷地内の捜査から、樋田容疑者は正面玄関ではなく、庁舎東側の護送用の裏口から逃走した可能性が高いことが、捜査関係者への取材で分かった。

 一般来庁者の利用する正面玄関は、当直態勢の時間とはいえ、警察官の目がある。一方で、護送用の裏口については、樋田容疑者も送検などの際に何度も出入りしていた。5月の盗品等保管容疑で現行犯逮捕されて以来、今月8日に強制性交未遂容疑で逮捕されるまで計4回、逮捕されている。以来約2カ月半、署に勾留されていたが、今月9日の送検を含め、少なくとも4回は出入りしていた。府警は、署の構造を把握していたとみて調べる。

 樋田容疑者が履いていたとみられるサンダルは署敷地内の駐車場に脱ぎ捨てられていた。接見室の待合室から署員の白いエドウィン製スニーカーが紛失しており、この靴を履いて逃走したとみられている。

 庁舎南側の2~3メートルの塀には、樋田容疑者のものとみられる靴跡が複数ついていたことも14日、捜査関係者への取材で分かった。敷地内にあった洗車用の脚立には13日までの捜査では指紋が検出されていない。何らかの方法で塀を越えれば、南側にはコインパーキングが広がり、夜間は人目に付きにくい。

 押し破られた接見室のアクリル板には、足の跡が残っていたことも14日、捜査関係者への取材で分かった。足で強く押すか、蹴って壊した可能性がある。

 樋田容疑者は逃走時、現金を持っていなかったという。しかし、樋田容疑者は強盗致傷や、被害女性の後についてマンションに押し入ってのわいせつ行為などがあり、現在も現金を持っていないかどうかは不明だ。捜査関係者は「漫画喫茶など、滞在できるような施設にも樋田容疑者が潜伏していないか、確認を進めている」と話した。