日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者(65)弁護団の弘中惇一郎弁護士(73)と小佐々奨弁護士が9日午後、都内の日本外国特派員協会で会見を開き、同容疑者が4日にオマーンの代理店側に日産の資金を不正送金し約5億6300万円の損害を与えた会社法違反(特別背任)容疑で東京地検特捜部に再逮捕される前に撮影した動画を公開した。

質疑応答で、キャロル夫人(52)が東京地裁から証人尋問の日程調整の連絡があった直前に日本を出国した件について、一部から「駐日大使がエスコートし、守るように空港に行って出国した。外交問題に発展するのでは?」との質問が飛んだ。弘中弁護士は、キャロル夫人が東京地検特捜部の聴取に応じる意向を示しているとした上で「今回の逮捕、捜索、押収には2つの問題がある。1つは。正当な理由のない逮捕、捜索だった。もう1つは、そのやり方が極めて非人道的、非人権的だった」と指摘した。

その上で、ゴーン容疑者の逮捕時の様子に触れ「キャロルさんは逮捕対象ではないのに、パジャマ姿でトイレまで自由に行けず、電話とパスポートを奪われ、何のためにそんなことをされるのかの説明もなかった」と東京地検の手法を批判した。そして、駐日大使がキャロル夫人をエスコートした目的について「(キャロル夫人は)フランスで人権侵害を訴えたく、向かった。それを理解し、大使がサポートした」と説明した。

海外のメディアからは、キャロル夫人をはじめ、ゴーン容疑者の家族に逮捕の可能性があるかと質問が飛んだ。弘中弁護士は「検察が家族について、どう考えているか、証拠を持っているかは分からない。キャロルさんは現在、証人として呼ばれ、知っている事実から逮捕されることはないと判断し、入国のアドバイスはした。その他の家族については検討、決断していないのでお答えできません」と語った。【村上幸将】