花咲徳栄が埼玉県勢として初めて夏の甲子園を制覇した2017年の主将で、19年4月に強盗致傷事件を起こした千丸剛(ちまる・つよし)被告(21)らの裁判員裁判が27日、千葉地裁(坂田威一郎裁判長)で開かれ、情状証人として花咲徳栄の岩井隆監督(50)が出廷した。

岩井監督は20年1月6日、千丸被告が逮捕されたと聞いて「まさかという思いだった」と明かした。

千丸被告は18年春、スポーツ推薦で駒大に進学し、野球部に入部。春のリーグ戦から出場していたが、先輩の理不尽なしごきに9月に退部したと、弁護側の被告人質問で主張した。大学も19年3月、退学した。

駒大入学は岩井監督が勧めた。在学中、千丸被告から電話で相談があったが、岩井監督は「『耐えろ。そういう世界がある。耐えてみろ』と言った」という。退部したことを伝えられると、「かけがえのないものをやめてしまうことを厳しく叱りました」。

その後、連絡が途絶えた。「もう少し、私が寄り添っていれば、こんなことにならなかったのかなと思います」。千丸被告は判決が確定したら、監督が東北福祉大野球部時代に同室だった後輩が社長を務める大阪の不動産店で働くことが決まっている。「(共犯の被告がいる)神奈川や(小中学校の同級生がいる)東京から離した方がいいのではないかと思いました。千丸は重い物を背負って人生を歩んで行かなくてはならない。まだ20歳そこそこ、支えがなくてはならない。私がやりたいと思っています」と話した。【中嶋文明】

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