菅政権発足後初の国政選挙となる参院広島選挙区再選挙と参院長野選挙区補欠選挙が8日、告示された。いずれも与野党対決の構図となった。13日告示の衆院北海道2区補選とともに25日に投開票される。

広島は19年参院選の公選法違反(買収)で有罪判決が確定した河井案里前参院議員(自民離党)の当選無効に伴う再選挙。野党は統一候補としてフリーアナウンサーの宮口治子氏(45)=立憲民主、国民民主、社民推薦=を擁立。自民党は元経済産業省課長補佐の西田英範氏(39)=公明推薦=を立てた。

広島市中区の事務所前で行われた出陣式。西田氏は第一声で大規模買収事件について「これまでの経緯にどう向き合うのか。逆風を正面から受け止めて、広島から日本をリードする公正な政治を進めたい」と訴えた。再選挙では「政治とカネ」が大きな争点となる。支援者の1人は「(西田氏の)ポスター貼らせてほしいと頼んだら、断るところもあった。長年、自民党を応援しているけど、こんなことは初めて」。自民支持者にも事件による不信感が残っている。

福山市出身で瀬戸内海放送のキャスターなどを務めた宮口氏は街頭で事件について「広島県民として情けないし、恥ずかしい」と強調。発達障害のある長男ら3人をシングルマザーとして育てている経験を語り、「小さな声を政治に届けたい」と訴えた。

19年参院選は自民党が分裂し、「仁義なき戦い」が繰り広げられた広島選挙区。今回の再選挙の勝敗は、菅首相の衆院解散戦略を含む今後の政権運営にも影響し、「選挙3敗」の場合は大きなダメージになる。【松浦隆司】