「撮り鉄」の人気撮影スポットとして知られる東京・八王子市のJR中央本線の踏切近くで、住宅の生け垣の木3本が何者かに切り倒されているのが見つかった。

切った人物や目的は不明だが、住宅に住む60代の女性が11日までに取材に応じ「木を切ってどう思っているのかが知りたい。反省してくれているなら出てきて欲しい」と語った。警視庁は器物損壊の疑いで捜査をしている。

9日午前6時過ぎ。JR中央本線の踏切に面した自宅の窓を開けた。敷地内の駐車場に植えてあった高さ3メートル余りの木3本が切り倒されているのが、すぐに目に入った。木は50センチ前後の高さで切断されており、敷地内に侵入しなければ切れない位置に植えられていた。女性は「怖くなってすぐには通報できなかった」とショックを受けたが、同居のめいに知らせ、めいが110番通報した。

木はレッドロビンという生け垣によく使われる木で、20年前に女性の夫が植えた。自宅の敷地は踏切につながる道の急カーブに面しており、木を植える前には、夜道でスピードを出した自転車やバイクに乗った人がカーブに気付かず、敷地内に転落することもあった。3本の木は、夫が近くを通る人たちの事故防止のために植えた木だった。

この踏切周辺は、車両の撮影を趣味とする「撮り鉄」と呼ばれるファンの間で人気の撮影スポットだったという。近くの住民によると、多い日で100人近い鉄道ファンが訪れ、車が通れないこともあった。女性は「撮影している人の中には、あの木の枝を手で折っている人もいて『折らないで下さい』と言ったこともある」と明かした。「ただ、マナーを守らないのは一部です。道路から撮るのに、わざわざ許可を取ってくれる方もいた」とも話した。

通報翌日の10日には、現場付近で聞き込みを行う警察官の姿があった。近くに住む男性は「鉄道ファンが撮影で集まる場所を聞かれました」と明かした。現場近くで電車の撮影をしたこともある近くに住む10代男性の鉄道ファンは「国鉄車両185系が3週間以内に走る可能性があるらしい。それを撮影するために木を切ったのかもしれない」と推測し「もし万が一、ファンの行為だったとしたら同じファンとして肩身が狭くなる。やめてほしい」と話した。

切った人物については警視庁が捜査中。鉄道ファンが関与したかどうかは分かっていない。【沢田直人】