岸田文雄首相は11日、「法務大臣は死刑のはんこを押す地味な役職」などと発言し、与野党から辞任を求める声が出ていた葉梨康弘法相を、更迭する方針を固めた。自民党関係者が明らかにした。

首相に事実上更迭されることになった葉梨法相が、法相の仕事を軽視したような失言で、2010年11月に更迭された柳田稔c元法相について、かつて、自身のホームページのコラムで批判していたことが分かった。11日、立憲民主党の川田龍平参院議員が参院本会議で、指摘した。

葉梨氏は、2010年に「法務大臣は、国会答弁は2つを覚えておけばいい」などと発言し、その後更迭された柳田氏について、2011年のコラムで「閣僚としての適性を欠く方を交代させるのは当然のこと」と指摘していた。川田氏は「ご自身の言葉を踏まえれば当然、辞任すべきだ」と、葉梨氏に辞任を迫った。

これに対し、葉梨氏は「私が落選中だった期間、コラムにご指摘のような記載をした」と認め「このたびの発言は軽率だったと真摯(しんし)に受け止め、撤回の上おわびします。今後は発言に慎重を期してまいります」「引き続き説明責任を徹底的に果たし、職務に全力を尽くします」と答弁した。

葉梨氏にとっては、失言で辞任に追い込まれた元法相を批判した言葉が、そのまま自分にそっくりはねかえってくる、皮肉な「ブーメラン」になった。

柳田氏は2010年11月14日、法相就任祝いをかねた地元広島での会合で「法務大臣は『個別の事案についてはお答えを差し控えます』と『法と証拠に基づいて適切にやっています』の2つを覚えておけばいい」と発言。発言から8日後に、当時の菅直人首相に更迭された。