過去に性的少数者らに対する差別的な発言や寄稿をした自民党の杉田水脈・総務政務官の更迭を求める抗議活動が10日、東京・永田町の自民党本部前で行われ、国会議員を含め約100人が参加した。杉田氏は当初、謝罪や撤回の要求に応じなかったが、今月2日に松本剛明総務相の指示を受ける形で一部について謝罪、撤回している。

11月30日の参院予算委員会で、杉田氏の過去の発言について質問した立憲民主党の塩村文夏参院議員は「差別や偏見をあおってSNSで拡散させ、共感を得て、それを票にして党に貢献しているように感じる。差別や偏見をあおることで票にすることが、政治家の仕事なのか」と指摘。「上司である総務相に指示をされたから謝罪、撤回をするだけでいいのか。『怒られたから謝ります』とは、子どもではない。バッジをつけている国会議員だ。総務政務官は更迭されるべき。バッジを外すべきという声も多くあるが、少なくとも政務官は更迭されないといけない」と、主張した。

同様に国会で杉田氏と質疑を行った社民党の福島瑞穂党首は、杉田氏が過去に「男女平等は絶対実現し得ない反道徳の妄想」などと発言したことに触れ「今、私たち女性が国会で活動できるのも、これまで命がけで戦ってくれた女性たちのおかげ。絶対に許せない」と批判。筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患うれいわ新選組の舩後靖彦参院議員は「生産性で人間の価値をはかる(杉田氏の過去の)発言には恐怖を感じた。岸田首相の任命責任が問われるべきだ」と、政務官に登用した岸田首相の判断にも疑問を投げかけた。

また、同性愛者であることを公表し、臨時国会中に委員会で3回、杉田氏と質疑を行った立憲民主党の石川大我参院議員は「杉田氏を更迭しないまま臨時国会を閉じ、新年を迎えることはあり得ない。これからも声を上げ続けたい」と述べた。

参加者は、「杉田水脈政務官を更迭しろ」などのカードを掲げ、「差別はやめろ」「杉田水脈政務官を更迭しろ」と叫び、この日の抗議活動の主催者は、自民党総裁でもある岸田文雄首相に杉田氏の更迭を求めることなどを求めた要請書を党側の関係者に手渡した。

杉田氏は、臨時国会中、野党に過去の自身の発言や寄稿などについて、謝罪と撤回を求められ続けた。12月2日になって「過去の発言などに対する厳しいご指摘・ご批判、重く受け止めています。傷つかれた方々に謝罪し、そうした表現を取り消します」と国会で答弁した。答弁前に、上司である松本剛明総務相が杉田氏に発言の撤回と謝罪を指示。杉田氏も内閣の一員として従ったと明かしている。