台湾の初代デジタル担当相を務め、国際的にも高い評価を受けているオードリー・タン氏が12日、国会に姿を見せ、自民党と立憲民主党の勉強会で講演した。

タン氏は、新型コロナ禍の台湾で、薬局の在庫データをリアルタイムで公開する「マスクマップ」を主導、独創的なアイデアで政府の迅速な対応に貢献したことで知られる。

新著のキャンペーンも兼ねて来日中のタン氏は、自民党の「PMT研究会勉強会」で、新著の共著者でマイクロソフト首席研究員で経済学者のグレン・ワイル氏とともに講演。「多くの西側民主主義をむしばむ分断や憎悪などの『ウイルス』は、日本や台湾ではまだ深刻化していない。多くの声が、混乱ではなく『よりよい選択』につながるシステムづくりこそが、民主主義が成果を生み出す鍵になる」と訴えた。

会の座長を務める小泉進次郎元環境相は、昨年ワイル氏と対談する機会を得たのを機に交流が生まれたと明かし、今回の2人の来日を受けて「みんなで学んだ方がいいのではないかと思い、こういう場を設けさせていただいた」と述べた。大型連休中に訪問した米ワシントンでは「自由と民主主義の象徴のアメリカですら、かなりその形を変えてきている。意見交換でも自由な発言がしにくくなっていることを感じた」といい、「ここで民主主義を弱体化させてはならず、テクノロジーを含めてどのようなことができるのかを考えていく時代に入った」と述べた。

自民の勉強会に先立ち、立民も国会内で「未来を共創するデジタル民主主義」をテーマに、タン氏とワイル氏を招いた勉強会を開いた。改革への投資の必要性に触れながら「日本は、新しいモデルを提供するのに適している。この国こそがリーダーになれると感じている」と述べるタン氏に、対談した小川淳也幹事長は「これからは、技術や資本の力と、市民や人間の力のパワーバランスが少し変わってくる可能性があると思う。独裁的傾向を強めるところも出てくると思うが、日本は民主主義の基盤の上に立ち、一元制に向かうものを多元制にしながら、いい形で人間社会が健全であるよう、党として全力を尽くしたい」と訴えた。