小倉サマージャンプ(J・G3、芝3390メートル、27日)で良血馬ポルトラーノ(せん6、萩原)が重賞初制覇を狙う。近況は充実一途だ。

昨秋に福島のオープンを勝利し、今年2月には小倉のオープンで3着。前走は中京で行われた京都ハイジャンプで重賞に初挑戦し、3着に好走した。主戦を務める草野太郎騎手(33)は「今はレースごとに馬が良くなってきていますし、調教の内容も良くなってきています」と成長を実感している。

この夏はこのレースを目標に7月下旬に美浦トレセンへ帰厩。小倉への輸送を考慮し、すでに栗東トレセンに移動し、栗東で調整を行っている。草野騎手は先週、栗東で1週前追い切りにまたがり、今週も水曜は美浦から栗東へ駆けつけ、最終追い切りで感触を確かめる。「気性的に初めての場所(栗東)はどうなのかなと思いましたが、一緒に行っている馬もいて、すごく雰囲気がいいですね。状態はいいと思います。冬に小倉に滞在、レースを経験したことも今回いい方に生きてくれれば」と期待する。

型破りな両親を持っている。父オルフェーヴルは12年阪神大賞典2周目で逸走からのゴール前強襲が語り草。名牝エアグルーヴの子である母ポルトフィーノも08年エリザベス女王杯でスタート直後の落馬からカラ馬のまま先頭でゴールする爆走劇を演じている。

自身も平地では新馬戦2着後、なかなか結果を出せず、19年12月の中京でジャンプに転向。その初戦では1周目の正面の障害で鞍上の小野寺騎手を豪快に振り落としてしまい、両親と同じ強烈な個性を見せている。気性面の難しさ、脚もとなどを厩舎や牧場が丁寧にケアし、携わった騎手たちが大事に障害飛越を教えてきたことで、才能が開花しつつある。

2走前は当初予定していた牛若丸ジャンプSを使えず、除外で調整の難しさを抱えたなかでの競馬だった。「今回はレースへ向けて状態が上がっていく、いい形で臨めると思います」と草野騎手は声を弾ませる。今年も役者がそろった夏競馬後半戦の大一番、土曜小倉のサマージャンプ、各馬の走りに注目したい。【木南友輔】