障害界の時代が動いた。5番人気ニシノデイジー(牡6、高木)が転向4戦目、J・G1初挑戦でビッグタイトルを手にした。

JRA平地重賞馬のJ・G1勝ちは、ジャンプグレードを導入した99年に中山大障害を優勝したゴッドスピード以来23年ぶり2頭目で、勝ち時計は4分45秒9。鞍上の五十嵐雄祐騎手(38)はJ・G1で3勝目を挙げた。

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絶対王者を追いかけ、追い越した。ニシノデイジーは序盤からオジュウチョウサンを前に置いた。やや粗い飛越も中団で折り合い、レース中盤に仕掛けた。最終の向正面で先頭に立ち、後続をぐんぐん突き放す。2着に3馬身差の完勝。五十嵐騎手は「前半オジュウチョウサンを見ながら競馬ができて、後半から位置を上げてうまく運べました」と汗をぬぐった。

平地では2歳時に重賞2勝。牡馬3冠も皆勤と前途洋々…のはずだった。古馬になり8戦連続で2桁着順など大不振。今年5月、障害戦へ転向し2戦目で初白星。前走はオープンで2着。馬主の西山茂行氏は「次はオープンに行こうと思ったら五十嵐騎手が『(中山大障害に)行きましょう』と言ってくれた。あの競馬を見たらニシノデイジーの時代が来るなと思ったよ」と明かす。大舞台でついに素質が開花した。

アイドルホースのラストランもあり、多くのファンが集った。五十嵐騎手は「他の馬も力をつけて障害レースを盛り上げていけると思うので、応援よろしくお願いします」と呼び掛けた。絶対王者の壁を飛び越えたニシノデイジーが、新時代を築く。【桑原幹久】

◆五十嵐雄祐騎手のJ・G1勝ち 13年にアポロマーベリックで中山大障害を制して初勝利。翌14年4月に同馬で中山グランドJを勝ち、今回は8年8カ月ぶりのJ・G1制覇となった

◆ニシノデイジー ▽父 ハービンジャー▽母 ニシノヒナギク(アグネスタキオン)▽牡6▽馬主 西山茂行▽調教師 高木登(美浦)▽生産者 谷川牧場(北海道浦河町)▽戦績 24戦5勝(うち平地20戦3勝)▽総収得賞金 2億746万4000円(同1億2449万5000円)▽主な勝ち鞍 18年札幌2歳S(G3)東京スポーツ杯2歳S(G3)▽馬名の由来 冠名+すてきなもの