単勝3番人気のエヒト(牡6、森秀)が川田将雅騎手(37)の好騎乗で2度目の重賞制覇を果たした。

スタートは決して良くなかったが、押して好位を取り、直線で力強く抜け出した。昨年の七夕賞に次ぐ重賞2勝目。馬名の由来通り“本物”になってきた。川田騎手、森秀師とも小倉記念は2勝目。秋はさらなる大舞台が視界に入る。

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スタートから1コーナーまでの長い直線で、川田騎手はぐいぐいと手綱を押した。「本人(エヒト)には無理をしてもらいました」と振り返ったアグレッシブな騎乗で4番手を確保すると、勝負どころまでがっちりとその位置をキープ。最終4角のコーナリングで2番手まで上がり、ラスト100メートルで最後に残ったテーオーシリウスをかわした。

「海外(2走前レッドシーターフH7着)では思うような結果を得ることができませんでしたが、(今回は)彼本来の走りができたんじゃないかと思います」と2度目のコンビだったパートナーをたたえた。

小倉を知りつくした鞍上の勝負勘が光った勝利だった。昨夏の小倉ではゲンパチルシファーでプロキオンSを勝利したが、その時、同馬を管理する佐々木師は「1コーナーの入りが素晴らしかった」と名手のエスコートを絶賛した。今年の開幕週となったこの土日は騎乗機会5連勝を含む9戦6勝。故郷の九州(佐賀県出身)で大暴れした。

エヒトにとっては重賞2勝目。昨夏の七夕賞はハンデ54キロで制したが、今回は58キロを背負っていた。森秀師は「この馬自身は重くても大丈夫だが、他の馬が軽いのがどうか」と案じていたが、地力で克服。「力をつけていると思う」と進化を認めた。

今後は距離延長を視野に入れる。「2000メートルは少し忙しい感じ。秋にはいろいろと(長い距離の)レースもあるので、それを考えたい」と師。今秋、エヒトがジャパンCや有馬記念を戦っている可能性も十分にありそうだ。【岡本光男】

◆エヒト ▽父 ルーラーシップ▽母 ヒーラ(ディープインパクト)▽牡6▽馬主 平井裕▽調教師 森秀行(栗東)▽生産者 白井牧場(北海道日高町)▽戦績 27戦6勝(うち海外1戦0勝)▽総収得賞金 1億9751万3000円(同0円)▽主な勝ち鞍 22年七夕賞(G3)▽馬名の由来 本物(独)