今年のJRA最終日は中山競馬場へ。メインの2歳G1、ホープフルSは○レガレイラがゴール前で▲シンエンペラーを差し切り、G1昇格後の牝馬初制覇を果たしました。自分の狙った◎タリフラインは残念ながら競走中止。ゲートで暴れ、パトロールビデオを見た限りでは道中もずっと平常心を欠いた感じで、かわいそうな競馬になってしまいました(JRAは両腸骨々折で予後不良と発表)。

快勝したレガレイラはデビュー前に函館で取材した馬でした。本紙松田記者によれば、レース後、オーナーは皐月賞参戦のプランも明かしたとのこと。このレガレイラも素晴らしい馬で、10月のクラシック登録(5大登録)で皐月賞、ダービーに登録を行っていますが、2歳世代の牝馬が粒ぞろいの木村厩舎にあって、もう1頭、チェルヴィニア(アルテミスS快勝、阪神JFは出走せず)もじつは皐月賞、ダービーの5大登録を行っています。どちらも主戦はルメール騎手。来年のクラシック、陣営の選択に注目です。

“ホープフルSのG1昇格後、牝馬の初制覇”。これは快挙ですが、個人的にはJRA賞の最優秀2歳牝馬はアスコリピチェーノに投票することを決めています。自分の尊敬する元調教師の方が以前言っていた言葉があります。「2000メートルで2歳のチャンピオンを決めている国がどこにあるんだい? 2歳のチャンピオンを決めるレースは1200、1400、1600メートルだよ。2歳で最もいい競馬をした馬が選ばれるべきだと思う」。

もちろん、JRA賞の投票は各記者が各自の(競馬における)思想信条にのっとって、信念を持って、投票するものだと思います。欧州の2歳G1はほとんどがマイル以下の短距離。一方、米国はBCジュベナイルやBCジュベナイルフィリーズ(だいたい1700メートル)を勝った馬が最優秀2歳牡馬、牝馬に選ばれることが多い。「日本の競馬(2歳戦)は欧米とは違う独自の進化を遂げている」という視点を持つことも、もしかすると、これからは大事になってくるのかもしれません。

最終レース終了後は田中勝騎手の引退式がパドックで行われました。デビューされたのが89年(自分は小学校4年生)。ヤマニンゼファー、セキテイリュウオー、バランスオブゲーム…、長年、関東のトップジョッキーとして活躍されてきた方で、最終日の今日は1R、2Rと連勝。パドックでは多くのファン、関係者が引退を祝福しました。同じくこの日が最後の騎乗だった柴山騎手も一緒にスピーチ。勝春さんも柴山さんも取材のときは誠実に受け答えしていただいた、優しい方という印象しかありません。調教師、助手として、お二人の今後のご活躍を期待したいと思います。

明日は大井で今年最後のG1、東京大賞典です。豪華メンバーの大激戦です。

先日の日刊スポーツ紙面で、JRAのハンデキャッパーを取材した記事を掲載しました。JRAのG1、重賞競走のレーティングをJRAのホームページで確認できるように、ダートグレード競走など地方競馬主催競走の過去のレーティングやプレレーティングはNARのホームページで確認することができます。

今年の東京大賞典のプレレーティングは1位のウシュバテソーロが122ポンド。キングズソードが117ポンド、ウィルソンテソーロとグロリアムンディが115ポンド、ミックファイアとドゥラエレーデが114ポンドで続きます。おそらく122ポンドという数字を持った馬の参戦は東京大賞典史上初。どんな結果になるのか、どんなレーティングが与えられるのか…、今年の日本のダート馬の世界的な頑張りを証明するように“近年の東京大賞典の勝ち馬のレーティングとは別次元の数字”が出てもおかしくありません。楽しみですし、やっぱり、最後の直線は声をからしたい、今年最後のG1、当てたいです。【木南友輔】