【狭山丘陵編】西武担当を離れて気付く本質「人来ないからいいところ」/連載〈19〉

旅が好きです。日本の全市区町村の97・3%を踏破済みです。その遍歴は球界関係者に興奮されたり、どん引きされたり。かけ算の世の中、野球×旅。お気楽に不定期で旅します。題して「野球と旅をこじつける」。第19回は23年シーズンに取材を担当させていただいた埼玉西武ライオンズのお膝元、所沢市の狭山丘陵を歩いてみました。

プロ野球

下山口駅で下車

4月21日午後、西武の羽田(はだ)慎之介投手(20)と山田陽翔投手(20)にそれぞれインタビュー取材をお願いしていた。

約束の時間まで、球団施設隣のベルーナドームで西武―楽天戦を見ながら待とうかと思った。でも、ちゃんと今年の西武担当記者が取材してるしなー、邪魔するのもあれだなー。

西武鉄道は西武ファンで大混雑。でも私はベルーナドームが目の前の西武球場前駅までは行かず、1駅前の下山口駅で降りた。降りたのは5人前後だった。乗車率200%近い車内から注目を浴びる。

改札を出る前に羽田を応援するのぼり旗があった。西武鉄道の各駅は「推し獅子」企画を行い、それぞれの駅で特定の選手を応援。下山口駅の推し獅子は羽田だ。だって地元だから。

ベルーナドームまで「チャリで15分くらいですね~」という距離。最速155キロを超えてきそうな将来性抜群の大型左腕は、西武鉄道を見ながら大きく育った。それでも「最大の思い出は?」と尋ねると…

「財布とか携帯を全部、電車に忘れて。渋谷まで行って、いろいろありました。それが西武球場前駅に財布と携帯が届いていて。すごく助かりましたね」

聞くと昨夏のこと。最大の思い出、最近じゃん…。そんなキャラの濃い若者だ。ファン感謝デーで球場前駅の一日駅長を務めると、たまたまやって来た両親に声をかけ、大勢のファンの前で記念撮影した。そんな純粋な若者だ。

ストレスなく、のどかにすくすく育ったんだろうな~と思う。丘陵地帯だから、平地のようなきめ細かな区画整理はされてない。「ザ・四つ角」といったきれいな交差点もない。なんとなーく道路が交わったり、T字路になったり。

西武鉄道の線路に沿って少し所沢側へ進み、そこから線路を離れる。駅も線路も見えなくなると、周囲はすっかり静かだ。野鳥のさえずりが強調され始め、雰囲気がとてもいい。

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1980年11月、神奈川県座間市出身。法大卒、2003年入社。
震災後の2012年に「自転車日本一周」企画に挑戦し、結局は東日本一周でゴール。ごく局地的ながら経済効果をもたらした。
2019年にアマ野球担当記者として大船渡・佐々木朗希投手を総移動距離2.5万キロにわたり密着。ご縁あってか2020年から千葉ロッテ担当に。2023年から埼玉西武担当。
日本の全ての景色を目にするのが夢。22年9月時点で全国市区町村到達率97.2%、ならびに同2度以上到達率48.2%で、たまに「るるぶ金子」と呼ばれたりも。