満点回答だ。1番人気シックスペンス(牡、国枝)がデビュー3連勝で重賞初制覇を飾った。

3番手から3馬身半差の圧勝で、皐月賞(G1、芝2000メートル、4月14日=中山)のトライアルを制した。勝ち時計は1分49秒4。鞍上のクリストフ・ルメール騎手(44)は今年の重賞初制覇。中3週でのG1参戦の明言は避けたが、勢力図を塗り替えそうな圧勝劇だった。

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接戦の様相を醸したのは一瞬だった。シックスペンスは直線入り口で圧勝を予感させた。1000メートル通過が63秒1の超スロー。団子状態の馬群から、白いシャドーロールの鹿毛馬が直線の追い風に乗った。レースラップが1秒以上も上がる、終盤2ハロン10秒台の上がり勝負。ルメール騎手は「馬の後ろでいいポジションが取れた。反応が強かったです」とその加速力をほめちぎった。いとも簡単に、皐月賞切符を手に入れた。

何でもできる。現状の課題を問われた国枝師は「現時点ではないですね」と答えた。馬場の荒れた3、4角。鞍上はそっと2番手コスモブッドレアの外を回るように誘導した。意のままに動く操縦性、急加速したラップへの対応力、そして着差のつきにくいスローでの3馬身半差。師が「外の3番手を選んで走れたし、前めに行っても折り合いも良かった。体も伸びが出てきて、コントロールが利く。距離が延びても平気」と、納得顔で振り返った。

無傷の3連勝。過去2戦はレース後に脚元の疲れが出たため、中3週の皐月賞参戦即断は避けた。オーナーサイドとの協議を経て決定されるが、今年の重賞初勝利を飾ったルメール騎手は陣営の背中を押す。「2000メートル以上も絶対いける。能力がたくさんありそう。今日は楽に伸びてくれました。上のクラスにいけると思う。すごくいい3歳馬です」。春の訪れに合わせて、牡馬の主役候補がようやく現れた。【松田直樹】

 

■シックスペンス▽父 キズナ▽母 フィンレイズラッキーチャーム(トワーリングキャンディ)▽牡3▽馬主 (有)キャロットファーム▽調教師 国枝栄(美浦)▽生産者 ノーザンファーム(北海道安平町)▽戦績 3戦3勝▽総獲得賞金 7287万3000円▽馬名の由来 イギリス旧硬貨の名。幸運をもたらすお守り。母名より連想