ワッ美味しそう! シュラスコの代表とも言えるピカーニャ(イチボ)です
ワッ美味しそう! シュラスコの代表とも言えるピカーニャ(イチボ)です
脂部分が縦になる形で切って、肉と脂を一緒に食べてください。サイコーですよ
脂部分が縦になる形で切って、肉と脂を一緒に食べてください。サイコーですよ

ブラジル風バーベキュー

 日本の皆さん、CHURRASCO(シュラスコ)という料理を聞いたことありますか? そうです…今では日本でもあちらこちらにあるブラジル風バーベキューのことです。

 肉というと、世界各国でいろんな食べ方がありますよね。例えば、これぞニッポン! というと、シャブシャブやすき焼き。韓国というとプルコギ、などなど。

 でも、食べ方がありすぎるからこそ、その国のバーベキューというと、なかなか個性がはっきりしません。アメリカ風? イギリス風? イタリア風? 何て言っても正直、はっきりと見分けできないのも事実です。

そう。肉は、薄~く薄~く切ってもらってくださいね
そう。肉は、薄~く薄~く切ってもらってくださいね

肉汁も肉の中にとじこめられて

 では、なぜシュラスコはちゃんとブラジル風として成立しちゃったんだろう? 実は、皆さんが知っているシュラスコは、食べ物だけではなく、食べ方の意味も入っています。あのサーベルみたいなものに肉を刺して、粗塩だけの味付けでゆっくりと肉を火の上で回しながら作る肉料理。確かに粗塩だけだと肉本来の味が楽しめるし、鉄部分に触れない焼き方だと肉汁が流れずに、肉の中に封じ込まれるのですごく美味しいはずです。

こんな風にグリルから浮いて鉄部分に触れないから、肉汁が流れなくてジューシーに焼きあがるんです
こんな風にグリルから浮いて鉄部分に触れないから、肉汁が流れなくてジューシーに焼きあがるんです

 でも、それだけでは国を代表するまでになるのは程遠い…じゃ、どうして? その昔、ブラジルでもシュラスコは一人前ずつ(おおよそサーベル1本に、選んだ肉が焼かれてサーブされる)のオーダーでした。しかし1960年代に、サンパウロの田舎の高速道路の脇にあったレストランが、近くの街でのイベントがきっかけで客が殺到。オーダーをさばききれず、テーブルとオーダーがめちゃめちゃになったところから、すべてのオーダーを、すべてのテーブルに回して、一定の値段を取るという方法をとり、生まれたのが、Churrasco Rodizio(シュラスコ・ロジージオ)です。ロジージオとは、直訳で「ぐるぐる回る」ということから、食べ放題を意味します。

高級店だとサラダバーも立派です。サラダだけでおなかいっぱいになっちゃいそう
高級店だとサラダバーも立派です。サラダだけでおなかいっぱいになっちゃいそう
このレストランのサラダバーもすごいですね
このレストランのサラダバーもすごいですね

いろいろな味が楽しめます

 上記のように、牛1頭サーブするために高速道路沿いのレストランとしてはハマったのでしょうが、80年代になると高級バージョンが都心にオープンされました。豊富なサラダバーを設け、それが一気にブームとなり、今、日本でも知られているシュラスコとなりました。

 今では、ガーリック和え、胡椒和えなどバリエーションがありますが、基本はやはり粗塩のみでの味付け。これだと他の部分の味がわかり、とても楽しいですよ。

 日本でも、かなり前から進出していますね。青山や六本木に出店しているBARBACOAは本社がサンパウロの老舗でオススメです!(http://barbacoa.jp)

とにかく「薄く薄く」

 <なお、ここでひとつ食べ方について(ご参考までに)> かなり店が混み合うので、ウエイターさんたちもてんてこ舞い。どうしても、肉を厚めに切ってしまいます(その方が面倒じゃないし)。お客さんも、肉が厚めだと食べごたえがあり、うれしく感じますが…3~4切れ食べるとなぜかお腹いっぱい…そうなんですよね。シュラスコのお店に行ったことある方は経験したはずです…そんなに食べていないのに、なぜか満腹という感覚を…だから、ウェイターさんに「薄く、薄く切って」と積極的に頼んでください。そうですね…シャブシャブレベルに薄く切ってもらえたら、かなりいろんなお肉を楽しめると思いますよ。

 また、外部分は火が直接入っていて、粗塩も付いているので、ドライでしょっぱいです。できれば、2番目のカットをお願いしてください(外の部分を1枚カットした後の、2番目のカット)。ジューシーで肉の本来の甘さを味わえますよ。いろんな肉の部分の2番目カットを薄く切ってもらい、食べ比べしたらより面白いですよ。

 そしてウエイターさんがブラジル人だったら、1000円ほどのチップを最初に渡して「美味しい肉を持ってきて!」と頼めば、美味しい部分を何度も何度も運んでくれますよ。で、ブラジル人なら、なおさら薄く切る意味を理解しているので「薄く、薄く!」(ポルトガル語で「Fino, Fino」(フィーノ、フィーノ)と言ってくださいね。オーダーを取らなくていいので、送別会や忘年会などにもオススメです。今夏は暑気払いにいかがですか?(ブラジル・サンパウロからアレックス。写真も)