30日間で3700キロをE-Bike(YAMAHA WABASH-RT)で走り切り、佐多岬~宗谷岬の日本縦断を果たした、旅行家藤原かんいち。前例のないE-Bikeによるチャレンジ。運動不足の61歳の中年男にできるのか!? 一体どんな旅だったのか!? 激動の30日間を旅日記で振り返ります。
Day09 2022/05/24
愛媛県松山のビジネスホテル。出発の準備。サイドバッグに荷物を詰め込み、持ち上げた瞬間。ズキン! 腰に激痛が走った。うっ、まさか?? これってギックリ腰!? 身体を少し動かしただけで激痛。やばい、これは完全にギックリ腰だ。こんな時にギックリ腰だなんて… けがならまだしも、ギックリ腰で日本縦断中止!はカッコ悪すぎる。これは困った。
このままホテルにいるわけにいかないので、激痛に耐えながらエレベーターに乗り、受付へ行きチェックアウト。ヒーヒーうなりながらも、何とかバッグを自転車に積み込んだ。「ふーっ…」さあ、後は自転車で走れるかどうかだ。サドルにまたがろうと足を上げると、アイタタタ…。めちゃくちゃ痛い。我慢しながらサドルにまたがると、少し楽になった。ペダルを踏み、ゆっくり動き出す。5m、10m、20m… 大丈夫だ、何とか走れそうだ。少しホッとする。
まずは愛媛県と高知県の県境に広がる、ステージ06『四国カルスト』を目指す。腰痛と闘いながら、国道33号を南下。少しづつ、確実に進んで行く。12時過ぎ、『道の駅みかわ』に到着。ここでランチにする。自転車から降りる時に激痛が走る。レストランまで行きイスに座るときにも激痛。動く姿はぎこちなく、まるで老人のよう。くそー、情けない。30日間で日本縦断だけでも大変なのに、さらにギックリ腰、この状態がどこまで続くのか… 考えるとゾッとする。
国道440号の『四国カルスト』の標識に従って右折、県道に入って行く。しばらく行くと長い登り坂が始まった。アシストがあるとはいえ登り坂が長く続くとさすがにキツイ。それでも「この峠を越えた先に絶景の『四国カルスト』があるんだ、頑張れー」と自分を励ましながら進んで行く。
30分ほど走ると標高1080mの地芳峠に到着した。ここで小休憩。呼吸を整え、再びペダルをこぎ出す。20分ほど登るとぱっと視界が開け、カルスト台地が目の前にドドーーン! と広がった。やった! 達成感に包まれる。起伏に富んだ緑の大地、点在する石灰岩、草を食べる牛、風を受け気持ちよさそうに回る風車。ため息が出るような絶景だ。この景色を見るために頑張って良かった。
ベストショットを撮影するために道を何度も往復、さらに自転車を乗り降り、撮影ポイントを探してウロウロ歩きまわる。そこであることに気が付いた。あれ? 腰がそんなに痛くないぞ。朝の痛みが10だとしたら、いまは5~6くらい。かなり楽になっている。無理して動いていたのが幸いしたのか? どちらにしても良い方向に向かっているのは確かだった。
1本目のバッテリー残量が0になったので、充電済みの2本目に交換する。時計を見ると4時半。今日の宿泊予定地の須崎まで、まだ50キロはある。先を急ごう。ところが見通しの悪い急カーブの連続で思うようにスピードが上がらない。おまけに減速の連続でブレーキレバーを握る手まで痛くなってきた。
国道439号通称「与作」に出るとようやく連続カーブは終了、ようやく道がまっすぐになった。さらに国道197号へ入れば須崎まで一本道。ひたすらペダルを踏み続ける。距離があったので『道の駅・かわうその町すさき』に着いたときは日も暮れ、夜8時近くになっていた。旅行系のサイトで須崎のビジネスホテルを探すが、出てこない。困った。
旅行系の検索は諦め、地図で見つけた宿に直接行ってみることにする。ようやく見つけたビジネスホテルが1軒。行ってみるが誰もいない。受付のベルを2回、3回鳴らすが、誰も出てこない。困ったー。すでに9時近く。再び町をウロウロ探し回るが、もう一軒は閉まっていた。仕方なく、最初のところへUターン。ベルを鳴らすが反応なし。今日は野宿? だめだ、それだとE-Bikeの充電ができない。隣の建物の明かりがついていたのでドアを叩くと、人が出てきた。事情を説明するとホテルの経営者で泊めてくれるという。良かったー、助かった。
■日付:2022年5月24日
■走行距離:145.8km
■ここまでの総走行距離:1,154km
■ルートマップ