ロサンゼルス(LA)を襲っている多発的な山火事の発生から2週間となりますが、現在も2カ所で延焼が続いており、鎮火の目途は立っていません。7日午前に発生した西部の海を見渡す丘の上に位置する高級住宅地パシフィックパリセーズの山火事は、20日時点で鎮火率は59%で、依然として多くの住民が避難生活を余儀なくされています。また、北東部イートン地区の火災も87%の鎮火率で、炎は完全には消えていません。
LAを代表する観光名所ハリウッドのすぐ近くでも山火事が発生し、一時はハリウッドサインやチャイニーズ劇場などLAを代表する観光名所のすぐ近くまで火の手が迫ったこともあり、LA観光を計画されている方は火災の影響や安全面について心配していることと思います。現在の観光地の様子や治安などを、現地からお伝えします。
■被害地域は?
広大な面積を誇るLAでは、地図を見ると分かりますが、すべての地域が山火事の影響下にあるわけではありません。
壊滅的な被害を受けたパシフィックパリセーズは、ロサンゼルス空港の北、サンタモニカとマリブに挟まれた地域です。現在はサンタモニカからパシフィックパリセーズを抜けてマリブへと続く海沿いの幹線道路は封鎖されており、一般の通行はできません。また、避難指示が解除された地域も一部ありますが、現時点では被災地への立ち入りは住民に限定されており、火災関係者やメディア以外の一般の人の立ち入りは禁じられています。
8日にハリウッドヒルズで発生した「サンセット火災」はすでに鎮火しており、ハリウッド近郊の主な観光施設への影響は出ていません。また、ハリウッドサインが燃えたというフェイクニュースがネットで拡散されましたが、ハリウッドサインも無事です。
■観光への影響は?
サンセット火災の影響で、一時閉鎖されていたユニバーサル・スタジオ・ハリウッドは営業を再開しており、LAの夜景が一望できる天文台や動物園もあるグリフィスパークも開園を再開しています。一方で、火災現場近郊のハイキングコースとして人気のラニオンキャニオンは閉鎖されたままで、現在立ち入りが禁止されています。また、一時は火の手が迫る危険にさらされていたブレントウッドにある美術館「ゲッティ・センター」は、28日に一般公開を再開することを発表しています。
パシフィックパリセーズの南側に隣接するサンタモニカには被害はなく、サンタモニカピアをはじめ、ショッピングモールなども通常通り営業しています。一方、パリス・ヒルトンらが所有していた海沿いのビーチハウスや飲食店が焼失するなどの被害があったマリブでは、ドジャースの大谷翔平投手が訪れたことで知られるレストラン「ノブ」やマリブピアにある人気レストランとカフェ「マリブファーム」は被害を免れました。西側からのアクセスが再開されたことでセレブ御用達の屋外ショッピングモール「マリブ・カントリー・マート」など徐々に営業を再開する施設も出ています。
また、ドジャースタジアムのチームストアやスタジアムツアーも現在は通常通りの営業となっているほか、LAのダウンタウンから車で45分ほど南下したアナハイムにあるディズニーランドリゾートも通常営業しており、火災の影響はありません。
■今後の影響は?
昨年春以降まとまった雨が降っていないLAでは、極度に乾燥した状況は変わっておらず、サンタ・アナ風と呼ばれる乾いた強風が再び吹けば鎮火に向かっていた火災が再発したり、新たな火災が発生する可能性もあります。LAを訪れる際には、「レッドフラッグ」と呼ばれる山火事警報に注意が必要です。また、被災地近郊では雨が降った後には大規模な土砂崩れが発生する危険性が高く、マリブ方面は特に警戒が必要です。直近では、26日から27日にかけて雨予報が出ています。
■ホテルへの影響は?
LAでは例年、この季節はホテルの稼働率が年間で最も低い時期ですが、火災による避難需要によって現在ホテルの稼働率が急上昇し、高級ホテルの平均宿泊料は昨年より22.7%上昇しているとの報道もあります。特に被災地近郊のビバリーヒルズやウエストハリウッド、サンタモニカなどのホテルは、値段が高かったり、予約が取りにくい傾向にあるようです。
■治安や空気汚染への影響は?
LAでは山火事以前から強盗や略奪、集団万引きなどが頻発しており、治安の悪化が懸念されてきました。山火事発生後は、被災地での火事場泥棒や略奪、放火などの事件が相次ぎ、治安面での懸念が広がっています。観光地へ大きな影響はないと思われますが、現地の混乱による治安の悪化を念頭に、人通りの少ない場所を歩かない、手荷物や貴重品の管理に注意するなど、基本的な安全対策は必要です。
また、山火事発生後は大気汚染、特に健康に影響を及ぼすレベルの微小粒状物質(PM2.5)や有毒ガス、煙、灰などが遠く離れた地域でも発生しています。マスク着用が呼びかけられており、観光の際には大気汚染警報にも注意が必要です。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)







